スコットランドが英のEU離脱で、独立を巡る住民投票の再実施を求める


イギリスからの独立を問うスコットランドの住民投票。2014年に行われた際は、独立が否決されたが、再び行われる可能性が見えてきた。

EU離脱が進み、住民投票を求める

 

AFPによればイギリス下院は13日、テリーザ・メイ首相にEU離脱を正式に開始する権限を与える法案について、上院が付与した2つの修正を削除することを可決し、法案は上院に送られたという。

 

この法案が上院の承認を経て成立すれば、メイ首相はその後いつでも40年間加盟してきたEU からの離脱手続きに着手できるそうだ。

 

離脱交渉開始が間近に迫ったことを受けて、スコットランド民族党(SNP)が率いるスコットランド自治政府は、改めてイギリスからの独立の是非を問う住民投票の実施を求める姿勢を明らかにした。

 

ちなみに前回2014年9月に行われた住民投票では、イギリスからの独立反対が55%、賛成が45%だったという。

 

Googlemap

2018年秋に行えるよう権限を求める

 

昨年6月に行われた「EUからの離脱」を巡る国民投票では、イギリス全体で52%が離脱を支持したことで、メイ首相は移民の流入抑制を目的に、欧州の単一市場から離脱すると言明してきた。

 

この方針に対しスコットランド自治政府は、雇用や成長を損なう可能性が高いとして、警鐘を鳴らしてきたという。

 

また「EUからの離脱」を巡る国民投票では、そもそもスコットランド住民の62%がEU残留を支持していたため、SNP党首のニコラ・スタージョン自治政府首相は「スコットランドは異なる未来を模索する」と表明していたそうだ。

 

この言葉通り3月13日には、「スコットランドの人々に、このプロセスの終わりに選択肢を与える」と発表。独立の是非を問う住民投票を2018年秋から2019年初めまでに実施する権限を求めて、来週にも働き掛けを開始する意向を示した。

 

この結果、再び現れたイギリス分裂の可能性に改めて注目が集まっている。

英首相はこの判断に苦言を呈す

 

しかしBBCによれば、スコットランドが独立の是非について法的拘束力のある住民投票を実施するには、イギリス政府の認可が必要だという。

 

そして当のメイ首相は、これまで住民投票実施を許可するかどうか言明を避けてきたが、スタージョン氏の発表を受けて「2度目の住民投票を行えばスコットランドは『不確実な状態と分断』へ向かってしまう」と苦言を呈したそうだ。

 

Facebook/Theresa May

またスコットランドの大半の住民は、独立について「また投票したいとは思っていないはずだ」と強調。

 

さらに「SNPが今日示した視野狭窄ぶりは、非常に残念だ」とし「この国の未来を政争の具にするのではなく、スコットランド政府はむしろ、人々に良い政府と公共サービスを提供することに集中するべきだ。政治はゲームではない」と批判した。

極めて重要な交差路の前にいる

 

しかしスタージョン氏は、「ハード・ブレグジットか独立国家となるか、スコットランドの人々に選択肢を与えなくてはならない」と強調。

 

また自治政府はこれまで、仮にイギリスが欧州単一市場を離脱したとしてもスコットランドだけは残る提案を公表しており、「今はきわめて重要な交差路」を前にしていると述べたという。

 

さらに今後もイギリス政府との妥協を探っていくつもりだと強調しつつも、次のように語っている。

 

「ハード・ブレグジットに向けてイギリスの後をついていくのか、それとも他の地域と対等な本物のパートナーシップを確保し、ヨーロッパと自分たち独自の関係を確保することができる、そういう独立国家になるのか、スコットランド住民が選択できるようにする必要がある」

野党の多くは住民投票に反対

 

スタージョン氏が住民投票実施に向けたスコットランド議会の支持を得るには、独立派の「スコットランド緑の党」の票が必要で、同党幹部はすでにスタージョン氏の発言を支持しているという。

 

一方で、独立に反対する「スコットランド保守党」のルース・デイビッドソン代表は、スタージョン氏が「まったく無責任」で、「スコットランド全体の首相として行動するのを、すっかり止めてしまった」と批判。

 

またスコットランドの人々は住民投票の「分断に戻りたくない」上に、SNPは2014年の住民投票が「一世一代」のものだと約束していたはずだと述べたそうだ。

 

スコットランド労働党のケジア・ドゥグデール代表も、スコットランドはすでに「十分、分断している」と指摘。「また分断されたくないし、独立のための住民投票をまたやれば、まさしく分断が繰り返される」と批判している。

独立を望む声が増えるも過半数に届かず

 

スコットランドがイギリスからの是非を問う2度目の住民投票を実施できるかどうかは、メイ首相の率いる保守党が過半数を制する議会で決まるという。

 

ただ、メイ首相がスコットランドの住民投票を認めなかった場合、憲法上の問題になる可能性があるほか、スコットランド内で不和を生むかもしれないといわれている。

 

しかし一方で、スコットランド住民の独立支持は過去最高となっているものの、過半数には届いていないという情報もある。

 

Reutersによれば調査会社のスコットセンが15日に発表した結果では、イギリスからの独立を望む人は2012年の2倍に達したが、支持率は46%と過半数には届いていないという。

 

またEU離脱やEUの影響力低下を望むと答えた割合は、3分の2にものぼっているそうだ。

 

そのためスコットセンは、たとえ住民投票を行ってもEUへの支持が弱すぎるため、独立を主張するスタージョン氏が勝つ見込みは少ないと分析している。(了)

 

 

出展元:AFP:スコットランド、独立問う住民投票を再実施へ 英国のEU離脱で(3/14)

出展元:BBC NEWS JAPAN:スコットランドのスタージョン首相、2度目の独立投票要求へ(3/14)

出展元:Reuters:スコットランド首相、独立投票の再実施求める(3/14)

出展元:Reuters:スコットランドで独立支持が過去最高、EU懐疑派も増加=調査 (3/15)