モスルでイラク軍による民間人への拷問疑惑が浮上、内務大臣が調査を命令


アメリカを中心とした有志連合の支援を受け、イラク軍が現在モスルの奪還作戦を進めているが、そんな中特殊部隊員らによる民間人への拷問疑惑が浮上した。

きっかけは独誌のエッセイ

 

英紙Independentによれば、イラクの内務大臣は5月17日、内務省所属の緊急即応部隊「Elite Emergency Response Division (ERD)」による民間人への拷問、レイプ、殺人の疑いに関して公式に調査するよう命じたという。

 

この調査の命令は、ドイツの雑誌「Der Spiegel」が先週、「ヒーローではなく、モンスターたち」というタイトルのフォトエッセイを出版したことがきっかけだとされている。

 

そのエッセイには背中で腕を縛られ、天井に吊るされた男性の写真が映っており、また同時にこれまで住民のレイプやナイフでの殺害など、「ERD」による民間人への人権蹂躙に関する内容が記されていたそうだ。

フォトジャーナリストが現場を目撃か

 

このエッセイで撮影を行ったのは、フリーのフォトジャーナリストであるAli Arkadyさん。彼は当初、ISISと戦うイラク軍の勇敢な姿を記録する為に、「ERD」へ配属されたという。

 

しかしその後、特殊部隊員から虐待の現場へ招待され、さまざまな場面を目撃させられ、虐待を加えるよう促されたという。

 

その結果、このエッセイが出版されたのだが、「ERD」側は本物ではない加工された画像を元に記事が作られたとして、「Der Spiegel」を非難しているそうだ。

過去にも住民への虐待疑惑

 

しかし実は過去にもイラク軍やシーア派民兵による住民への虐待疑惑は伝えられており、昨年の10月18日には国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、イラク政府軍と民兵組織がISISの支配から逃れた何千人もの民間人を拷問し、恣意的に拘束・処刑しているという報告書を発表している。

 

またアムネスティは、昨年の6月頃に実施された西部の都市ファルージャの奪還作戦でも、戦闘から逃れてきた男たちがイラク軍と民兵組織に殺害される悲劇が数件起きたと報告した。

 

さらに人権監視団体のIRINやヒューマン・ライツ・ウォッチなども以前から、イラクの「ERD」がISISと協力関係にあったとみられるモスルの男性を拘留し、裁判にかけず処刑したと非難しているという。

 

ワシントンからの特使であるBrett McGurk氏もツイッターで「人権の基準を守れなかった個人やチームが、犠牲者に対しひどい仕打ちをしている。彼らは調査されなければならず、責任を問われなければならない」とほのめかしているそうだ。(了)

 

 

出展元:INDEPENDENT:Iraq investigating claims of civilian abuse by soldiers in Mosul(5/25)