保護施設のスタッフが自殺してから約1年、台湾で動物の殺処分が禁止される


台湾で先日、保護施設に預けられている動物の殺処分が禁止され、注目されている。

準備期間中に殺処分を苦に自殺

 

2月4日、台湾当局は保護施設に預けられている動物の殺処分を禁止し、さらにペットを捨てる人には最大で1万4000円を支払う義務を課すことを発表した。

 

殺処分の禁止法案は2年前に議会で可決されていたが、施設側への準備期間が設けられたため、今回から実際に施行されることとなる。

 

しかしその準備期間中に、保護施設で動物たちを安楽死させていた女性が自殺。その結果、当局に対し保護施設で働くスタッフの心のケアや、環境改善を求める声が高まっていたという。

動物愛護団体から批判の的になる

 

その台湾の女性とは、桃園市にある動物保護施設「Animal Protection Education Park」の所長として働いていた簡稚澄さん(当時31歳)。

 

英紙Telegraphによれば、台湾では2015年に約1万900匹の犬が捨てられていたため、保護施設の職員らはこの問題について、人々に伝えようと懸命に活動をしてきたという。

 

動物好きで獣医師になった簡さんも当時、この現状を訴え、人々にペットショップで犬を買うのではなく保護施設から引き取るよう促すために、ニュース番組に出演したそうだ。

 

インタビューの中で、簡さんは飼い主のいない犬たちを安楽死させることのつらさや、精神的な影響などを泣きながら訴え、2年間で700匹の殺処分を余儀なくされたと語った。

Flickr_Dave Parker

動物を安楽死させる薬を自らに投与

 

しかしその事実が発覚した後、簡さんは動物愛護団体の標的にされ多くの批判を浴びることに。しかも脅迫のメッセージさえ送りつけられ、「美しき虐殺者」とまで呼ばれたという。

 

その結果、昨年の5月、簡さんは動物を安楽死させる薬を自らに投与し、命を絶ってしまう。原因は明らかにされていないが、殺処分する辛さを苦にしてのことだと考えられている。

「ダーティな仕事」を負わされている

 

簡さんの死後、Office of Animal Care and Controlのスタッフは彼女を擁護。英紙DailyMailに対しても、次のように述べたという。

 

「国営の動物保護施設は、台湾の法律で飼育するスペースが不足した場合、動物を安らかに死なすことが認められてきました。また動物を引き取るのを拒絶できないのです。そのため施設から出て行くよりも、連れてこられる数が多い場合、動物たちの生活環境の質を維持するためにも、安楽死が認められているのです」

 

また動物愛護団体「PETA」のElisa Allenさんも取材に対し「現実は、毎年安楽死させられている引き取り手のない数百万匹の犬が、自由に歩き回れる施設が十分ないことなのです」と語っている。

 

「そのため簡さんのように、動物を非常に愛している保護施設のスタッフが、社会の『ダーティな仕事』を負わされたまま放置されているのです。それも多くの人が動物の去勢や卵巣の摘出などの、人口過剰を防げる唯一のことをしないからです」

 

「私たちは簡さんの家族に、心からのお悔やみを申し上げます。そして憐れみ深い人々に、ブリーダーから買うよりも保護施設から引き取ってもらうことを促すと同時に、去勢や卵巣摘出などを行うよう働きかけていきます」

 

保護施設のロビーには、簡さんによって描かれた多くの犬たちの絵や写真が飾られているという。法律の施行によりどう改善されていくのかまだ分からないが、今はただ簡さんのご冥福をお祈りしたい。

Facebook/Patricia Andrea Godoy Alfaro

簡さんについてはBBC日本版でも詳しく紹介されている。こちらも是非、ご覧頂きたい。

 

 

出展元:The Telegraph:Heartbreaking story of vet whose suicide prompted questions over animal welfare(2/2)

出展元:DailyMail :Taiwan makes it illegal for animal shelters to put down animals following tragic case of a vet who committed suicide after being asked to kill so many unwanted pets(2/6)