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豪のグレート・バリア・リーフ、3分の2以上に深刻な白化現象

豪のグレート・バリア・リーフ、3分の2以上に深刻な白化現象
ARC Centre for Excellence for Coral Reef Studies

オーストラリアの沿岸に広がる美しいサンゴ礁、グレート・バリア・リーフ。ここに生息するサンゴの状況を見極めるため、空中からの調査が行われ、白化現象が広がっているのが11日に確認された。

褐虫藻が離れて起きる白化現象

 

白化現象とはサンゴが弱り、白く染まってしまう現象のこと。そもそもサンゴは体の周りに褐虫藻という藻類をまとわせて、美しい色を浮かべているという。

 

そして植物である褐虫藻は光合成を行い、酵素とエネルギーをサンゴに供給。それを受け取ったサンゴが褐虫藻に必要な二酸化炭素を与えることで、両者は共存しているそうだ。

 

しかし海水温の上昇や環境の変化によりサンゴがストレスを受けると、褐虫藻が離れて行き、白化現象が起きると考えられている。

数年で回復の可能性があった

 

英紙Independentによれば、昨年の調査ではグレート・バリア・リーフの北部と中部のうち35%が白化現象を起こし、死ぬかもしくは死につつある状態だったという。

 

ただサンゴ礁は白化現象ですぐに死滅するわけではなく、数年はかかるものの海水温が低下すれば褐虫藻も戻り、サンゴも回復することが可能と考えられてきたそうだ。

ARC Centre for Excellence for Coral Reef Studies

3分の2が白化現象を起こしていた

 

しかし今年の3月、ジェームズクック大学のTerry Hughes教授やJames Kerry博士らが空中から北部・中部の8000kmに及ぶ範囲を調べた結果、3分の2以上が白化現象を起こしていたことが判明。

 

これは最近、オーストラリアを襲ったサイクロン「デビー」や昨年のエルニーニョに加えて、地球温暖化による海水温の劇的な上昇が最も大きな原因と考えられているそうだ。

ARC Centre for Excellence for Coral Reef Studies

しかしさらに大きな問題とされているのが、大規模な白化現象が繰り返される期間が短いこと。

 

グレート・バリア・リーフでは過去にも1998年と2002年に大規模な白化現象が発生しているが、今年は去年に引き続き2年連続で起きており、12カ月という非常に短い間隔で繰り返されたことになるという。

 

これにより昨年ダメージを受けたサンゴには、もはや回復する見込みが失われたとされている。

 

また昨年は北部の被害が大きかったが、今年は中部の白化現象も進んだという。

1、2度上昇するだけでダメージ

 

Kerry博士によると、海水が平均最高温度を1~2度上回り、その状態が3~4週間続くだけで、サンゴ礁によっては厳しい環境となり、白化するだけでなく茹って死滅してしまうという。

 

そして今回そのような事態がサンゴに起きたのではないかと推測されている。

 

ARC Centre for Excellence for Coral Reef Studies

Hughes教授はBBCの取材に対し「私たちが世界的に温室効果ガスの排出を食い止めたり、化石燃料から他のエネルギーへ移行したりする取り組みを早く行うほど、状況は良くなっていくでしょう」と語っている。

 

今年はまだ南部の調査を行っていないようだが、それにしても3分の2も白化現象が起きているとは、かなり深刻な事態に違いない。(了)

 

 

出展元:INDEPENDENT:Great Barrier Reef: Second mass bleaching in 12 months devastates two thirds of coral(4/10)

出展元:CNN:Great Barrier Reef ‘cooking and dying’ as seas heat up, warn scientists(4/10)

出展元:BBC:Great Barrier Reef: Two-thirds damaged in ‘unprecedented’ bleaching(4/10)

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