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イエメンの内戦で市民の犠牲者が1万人、負傷者が4万人に達したと国連が報告

イエメンの内戦で市民の犠牲者が1万人、負傷者が4万人に達したと国連が報告
UN Yemen 08-09-2016

サウジアラビアの隣国、中東のイエメンで続く内戦。これにより今までに1万人の市民が命を落としているという報告が行われた。

民間の死者1万人、負傷者4万人

 

AP通信によれば今週の月曜、イエメンにいる国連人道支援担当者が、約2年にわたる戦争で市民の犠牲者が1万人に達し、負傷者も4万人に上ることを明らかにしたという。

 

国連人道問題調整事務所のJamie McGoldrick氏は記者たちに対し、この数字は医療機関によって集められた犠牲者のリストに基づいたものだとし、実際の死亡者の数はもっと多いかもしれないとも語ったそうだ。

 

この声明は、国連がイエメンにおける犠牲者の多さを確認した最初のものだと言われている。

 

国連の報道官であるFarhan Haq氏は取材に対し「イエメンの状況をこれ以上遅らせることなく解決する必要性を、これはもう一度強調するものです。そこには莫大な人的被害があるのです」と語っている。

サウジアラビアなどが空爆を開始

 

そもそもイエメンではイスラム教シーア派のサレハ前大統領が長い間政権を担ってきたが、「アラブの春」以降、スンニ派のハディ氏が権力の座につく。

 

しかしその後イエメンは、複雑な部族や宗派の中で利害調整機能が働かずに不安定化。

 

その中でシーア派系反政府武装勢力の「フーシ派」が力を増し、同時に引退したはずのサレハ氏が復帰し、軍の支援を受けフーシ派とともにハディ政権と対立するようになる。

 

そして2015年2月にフーシ派らが首都サヌアを制圧。その結果、ハディ暫定大統領が国を離れ、フーシ派は政権掌握を宣言した。

 

このような事態に対し、スンニ派のサウジアラビアと同盟諸国からなる連合軍は同じ宗派のハディ政権を救おうと、2015年3月25日に武装勢力らに空爆を開始。その結果、泥沼の内戦状態になったとされている。

空爆や食糧不足により苦しめられる人々

 

また反政府勢力の拠点を目標にした空爆ではあったが、その後も人々が避難する難民キャンプなどにも行われ、多くの市民が犠牲になっているという。

 

そして昨年の3月15日には市場が空爆され41人の民間人が死亡、10月8日には葬儀に参列していた140人以上が、サウジ連合軍の誤爆によって死亡している。

 

さらに長期間に及ぶ紛争で大規模な食糧不足が深刻化。ユニセフが昨年10月に明らかにしたところによると、150万人近くの子供たちが栄養失調に陥り、そのうち37万人が非常に深刻な状態だという。

 

サウジアラビアなどによる空爆にはイギリスやアメリカも深く関わっているという。この空爆をやめさせるには、国際世論の高まりが重要になるのだろう。

 

出展元:AP:TOP UN OFFICIAL: 10,000 CIVILIANS KILLED IN YEMEN CONFLICT(1/16)

出展元:NHK:高まる人道危機!イエメン内戦(2016/12/19)

出展元:AFP:サウジとアラブ諸国、イエメンで軍事作戦 反政府勢力を空爆(2015/3/26)

出展元:AFP:動画:イエメン、子どもの栄養失調「極めて衝撃的」 国連事務次長(2016/10/6)

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