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「妨害されても走り抜いた」ボストン・マラソン初の女性公式ランナー、50年後も完走を果たす

「妨害されても走り抜いた」ボストン・マラソン初の女性公式ランナー、50年後も完走を果たす
Facebook/261 Fearless

今から50年前、初の女性公式ランナーとしてボストン・マラソンを走った選手が、再び参加したとして話題になっている。

50年前より24分及ばないだけ

 

その女性ランナーとは、Kathrine Switzerさん。彼女はすでに70歳になるが、4月17日に開催されたボストン・マラソンに参加し、見事完走を果たした。

 

沿道には彼女のストーリーを聞いた人々が集まり、「恐れを知らない、261」というゼッケン番号が書かれたボードを掲げ、声援を送ったという。

 

そしてSwitzerさんは26.2マイル(約42km)のコースを、4時間44分31秒でゴール。これは20歳の時に彼女が同じ大会で記録したタイムよりも、わずか24分及ばないだけだった。


ゴールを果たしたSwitzerさんはabc NEWSの取材に対し次のように語っている。

 

「本当にボストンという街に対して感謝の気持ちでいっぱいです。ボストンの通りは私の人生を変えてくれました。そして女性がマラソンを走ることに対する皆の意識を変え、まさに社会的な革命への道を作り上げることに貢献してくれたのです」

ゼッケンがはぎ取られそうになる

 

実は彼女がボストン・マラソンに参加した当時は、まだ圧倒的に男性の参加者が多く、女性が公式に参加することは禁じられていなかったものの、女性には長い距離を走ることはできないと考えられていたという。

 

そのためSwitzerさんも1回目はゼッケンをつけずに走っていたが、1967年の大会では「KV Switzer」という名前で登録し、「261」のゼッケンをつけて公式に参加。

 

ところが3.2kmほど走った頃、大会責任者の男性がランナーの中に女性がいると知り、慌てて彼女の後を追って肩をつかみ、ゼッケンをはぎ取ろうとした。

 

その時、責任者の男性は「俺たちのレースから出ていけ」とSwitzerさんに向かって叫んだという。

 

しかし彼女は責任者の腕を振りほどき、さらに男性の友人も彼を押して転ばせたため、Switzerさんはそのまま走り続け完走を果たす。

 

もっともそのレースでは失格とみなされたが、その後彼女はボストン・マラソンに初めて正式に参加して完走を果たした女性ランナーとして評価され、スポーツにおける女性の力を示したシンボルになったという。

 

そして女性がボストン・マラソンに参加できるよう働きかけるキャンペーンを 1972年まで続け、1984年に五輪で女子マラソンが正式種目となる道筋まで作ったそうだ。

 


Switzerさんは今回の大会でゴールした後、取材に対し次のように語っている。

 

「フィニッシュラインを越えた時、昔を顧み、大きな進歩と変化を感じながら50年を祝いました。今はただ、このような経験をさせてくれたことに本当に感謝している、としか言えません」

お年寄りへの偏見をなくす戦い

 

当時、Switzerさんは女性への偏見と戦っていたが、今ではお年寄りへの偏見に取り組んでいるという。

 

彼女は次のように語っている。

 

「人々はお年寄りに対して、当時女性に告げていたようなことを言っています。『がんばるな、体力が弱すぎるんだから、体を壊すかもしれない、だから挑戦するな』と。でも私は年齢に限界はないと思っています。年齢に対する偏見との戦いは、私にとっての新たなフロンティアだと思っています」(了)

 

 

出展元:abc NEWS:First woman to officially run Boston Marathon finishes race again at 70(4/17)

出展元:INDEPENDENT:Boston Marathon: First woman to compete in race 50 years ago runs again(4/18)

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