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海を泳いでいたと見られる、古代の新たなカニの化石を発見:イェール大学

海を泳いでいたと見られる、古代の新たなカニの化石を発見:イェール大学
YaleNews Elissa Martin

これまでの見方を変える、珍しい古代のカニの化石が発見され、進化の系譜に新たな種が加わった。

 

海を泳いでいたカニの仲間

 

その古代のカニとは、「カリキマイラ・パープレクサ(Callichimaera perplexa)」。この名前はギリシャ神話に登場する怪物「キマイラ(キメラ)」にちなんで付けられ、「困惑させる美しいキマイラ」という意味になるそうだ。

 

この化石を発見したのは、イェール大学の古生物学者・Javier Luque氏が率いる国際研究チームだ。

 

彼らは南米のコロンビアやアメリカで、保存状態の良い新たなカニの化石を数百個も発見。調べたところ、白亜紀中期、今から9000万年前から9500年前にカニの仲間だと判明したという。

 

「カリキマイラ・パープレクサ」は平べったい形をし、大きさは25セント硬貨(約24mm)ほど。2億5000万年に絶滅した「ウミサソリ」以来、パドルのような足で海を泳いでいた節足動物の初期の例になると考えられている。

 

YaleNews Daniel Ocampo R

従来の特徴を無視したカニ

 

そして何よりもユニークなのは、その姿だ。

 

通常、カニといえば広い甲羅に強いハサミ、長い眼柄にある小さな目、体の下に押し込まれた小さな尻尾を思い浮かべるかもしれない。

 

しかし「カリキマイラ・パープレクサ」は、眼窩のない大きな複眼の目や、曲がったハサミ、足のような口の捕食器官、外につきだした尻尾、長い体を持っているという。

 

これらの特徴は、通常海にいるカニの幼生に見られるそうだが、このことから古代のカニが大人になっても幼生の特徴を保有し、さらにそれらを増幅させ、新しい体の構造で成長させていた可能性があるそうだ。これは「異時性」と呼ばれる進化の過程と言われている。

 

このため「カリキマイラ・パープレクサ」は異なった方法で進化したと考えられ、従来のカニの進化系図に新たな支系を加える存在とされている。

 

研究者によれば、このような従来の特徴を無視した化石の発見により、カニの定義について考え直す必要があるという。(了)

 

 

出典元:YaleNews:Meet Callichimaera perplexa, the platypus of crabs(4/24)

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