中国の宇宙ステーションが近日中に地球へ落下の恐れ、欧州宇宙機関が警告
コントロールを失った中国の宇宙ステーション(実験棟)が、近日中に地球へ落下する恐れがあるとして警告が発せられた。
3月30日と4月2日の間に落下か
警告を発した欧州宇宙機関(ESA)によれば、中国の「Tiangong-1(天宮1号)」という宇宙ステーションは今まさに大気圏内に突入しようとしているという。
そして3月30日と4月2日の間に落下して、地球に衝突する可能性があるとしている。
しかし日本に落下する恐れはないようだ。地上に衝突する可能性があるのはミシガン州などのアメリカ北部や中国北部、イタリア中央部、スペイン北部、ニュージーランドやタスマニア島、南米。
また最も落下の可能性の高い地域として挙げられているのが、アフリカ南部だという。
有害物質に触れないよう警告も
もっとも大気圏突入の際には宇宙ステーションの大半は燃え尽きると考えられ、落下したとしても残りは全体の10%から40%に過ぎず、地上だけでなく海上にも落ちる可能性もあるそうだ。
ただ注意しなければならないのが、宇宙ステーションが積んでいる「ヒドラジン」と呼ばれる化学物質。この有害物質はロケット燃料として使用されており、長い期間人間が曝されるとガンを引き起こす可能性があると考えられている。
カリフォルニアに拠点を置く非営利団体の「Aerospace」も、すでに今年の初めに有害物質について次のように警告を発していたという。
「安全のため、もし地上で宇宙ステーションの残骸を見つけても決して触れてはいけません。また残骸から発生される蒸気を吸い込まないで下さい」
この「ヒドラジン」という化学物質は一般的に無色で、油っぽい液体状になっており、時には白い粉状の結晶になる場合もあるそうだ。
そしてアメリカの環境保護庁によれば、この物質にわずかな時間曝されると、目眩と同様に目や鼻や咽喉にヒリヒリとした痛みを感じ、時には頭痛や吐き気、肺水腫、発作に襲われ、昏睡状態に陥ることもあるという。
当初の落下予想は2017年の後半
そもそもこの宇宙ステーションの落下の可能性について言及があったのは、2016年9月14日。その時、中国载人航天は「Tiangong-1」が大気圏に再突入するのは2017年の後半になると予想していたそうだ。
しかしその後、2018年3月に落下するという説が有力になり、今回の欧州宇宙機関の警告につながったと見られている。
直接、残骸によって人間が死亡する恐れは少ないとされているが、日本でも落下物を発見したら触れずに、すぐに通報した方がいいのかもしれない。(了)
※下の動画は欧州宇宙機関の ATV 1という運搬船が再突入し、粉々に燃え尽きる場面。
出典元:METRO:China’s out-of-control Tiangong-1 satellite will smash into Earth this weekend, European Space Agency warns(3/26)
出典元:ESA:TIANGONG-1 REENTRY UPDATES(3/26)
出典元:THE AUSTRALIAN:Chinese space station Tiangong-1 is out of control and falling back to Earth(3/19)
出典元:news.com.au:China’s Tiangong-1 space lab expected to crash back to Earth early in April(3/20)