【インド】イスラム教徒の女性をオークションにかけるアプリ、開発した男を起訴
インド警察は、多くのイスラム教徒の女性の写真をネット上に掲載し、「オークション」に掛けるアプリを開発した男を起訴した。
「今日のお買い得品」として取引
その男とは、Aumkareshwar Thakur被告(25)だ。
Thakur被告は昨年、右派のモディ政権を批判する著名人など、イスラム教徒の女性を事実上「売り」に出すためのアプリ「Sulli Deals」を開発したという。
そのアプリは、2021年7月にウェブプラットフォームのGitHubでホストされており、本人の同意なしに入手した数百人のイスラム教徒の女性の写真と、詳細情報が含まれていたそうだ。
ユーザーはこのアプリを使い、数十人のイスラム教徒の女性のプロフィールから、「今日のお買い得品」として取引することができたという。
もっとも実際に、女性が販売されたわけではない。このアプリの目的は、イスラム教徒の女性の品位を落とし、屈辱を与えることだったとされている。
デリーの副知事が起訴を要請
コンピュータアプリケーションの学位を持つThakur被告は今年1月、デリー警察の捜査チームによって、中部マディヤ・プラデーシュ州のインドール市で逮捕されていたが、3月には保釈が認められていたという。
しかし先日、首都デリーの副知事・VK Saxena氏は、Thakur被告を法廷で裁くため、起訴するよう警察に要請。これを受け、デリー警察は、刑事告訴に踏み切った。
警察当局は、インドの情報技術法や、「国家に対して行われた犯罪」を扱うインド刑事訴訟法第196条の各条項に基づいて、Thakur被告を立件したという。
ジャーナリストや活動家、アーティストを標的
実は「Sulli Deals」が登場した後も、同様のアプリ「Bulli Bai」が公開され、作成したNeeraj Bishnoi容疑者も逮捕されていたという。
この2つのアプリに掲載されていたのは、ジャーナリストや活動家、アーティスト、研究者など、強く主張してきたイスラム教徒の女性ばかりだったそうだ。
2018年のアムネスティ・インターナショナルの報告書によると、インドでのネット・ハラスメントでは、声を大にして主張する女性ほど標的にされやすく、宗教的少数派や不利なカーストの女性ほど攻撃の規模が大きくなっていたという。
主にイスラム教徒の女性の多くは、モディ首相の政権下で台頭する「ヒンドゥー民族主義」を批判し、率直な意見を述べてきたそうだ。(了)
出典元:INDEPENDENT:Sulli Deals: India’s police to prosecute man who put up photos of Muslim women for ‘sale’(12/12)
出典元:BBC:Sulli Deals: Indian man who ‘sold’ Muslim women online to be tried(12/12)