死海文書に残された不明な箇所、イスラエルの研究者らが解読に成功
※写真は今回の写本の一部ではない。
「死海文書(写本)」に残されていた曖昧な部分の1つが、イスラエルの研究者らによって解読され、注目されている。
60以上に断片化された部分
文書の中で今まで曖昧だった部分は、60以上も羊皮紙が細かく断片化されていたが、イスラエルのハイファ大学のEshbal Ratson博士とJonathan Ben-Dov教授らによって1年かけてつなぎ合わせられたという。
その結果、ユダヤ人らが季節の変化に合わせて行った「祭り」の名前が明らかになったそうだ。
またそこでは、最初の写本筆者がミスした部分を修正した第2の筆者がいたことも、明らかになったとされている。
今回解読が行われたのは1巻目とされ、研究者らはもう1巻の解読も進めているとか。
900に及ぶ聖書を書き写した文書
「死海文書」とは1947年に死海の西側にあるクムランの洞窟で発見されて以来、多くの研究者らの注目を集めてきたという。
900以上に及ぶ写本郡は聖書を書き写したものだが、ヘブライ語、ギリシャ語、アラム語で書かれており、これまで見つかった写本の中でも最も古く、紀元前4世紀頃(紀元前3世紀から前1世紀という意見も)のものと考えられている。
ただしいまだに誰が書いたのかは明らかになっていない。研究者の中には、ユダヤ教の一派で禁欲的な生活を送っていたエッセネ派の人間によって書かれたと考える人もいるとか。
第2の写本筆者の注釈が解読に役立つ
今回、つなぎあわされた文書の断片は1平方センチメートルよりも小さいものもあり、また文章も暗号で書かれていたという。
しかし第2の写本筆者によって余白に書かれた注釈が、文章の解読に大きな助けになったとされている。
また明らかになった祭りの名前には、新しい小麦やワイン、オイルの収穫を祝うものも含まれていたそうだ。
これらは現在もユダヤ人の間で行われている3大祭りの1つ、農業祭りの「シャブオット(7週の祭り)」に関連していると考えられている。(了)
出典元:BBC:Mysterious Dead Sea Scroll deciphered in Israel(1/22)