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砂漠で育つ苔が火星で適応できる可能性、過酷な環境でも生き延びる

砂漠で育つ苔が火星で適応できる可能性、過酷な環境でも生き延びる
X_Steven Ashley

中国の研究者らにより、地球の砂漠に生息している苔の実験が進められ、火星に適応できる可能性が示されたと主張している。

 

火星のような条件に耐えられる

 

科学誌「The Innovation」において発表された研究結果によれば、中国の研究者らは、南極やアメリカのモハーベ砂漠などに生息している苔、「Syntrichia caninervis」の実験を行ったという。

 

その結果、この苔が、干ばつや高レベルの放射線、極寒など、火星のような条件に耐えられることを発見したそうだ。

 

研究者らは論文において「私たちの研究で得られた独自の知見は、極度のストレス条件に適応した、自然淘汰された植物を使った宇宙での植民地化の基礎を築くものです」と述べている。

 

The Innovation

生き延び、再生することも発見

 

中国の研究者らによれば、この苔はマイナス80℃で最大5年間、マイナス196℃で最大30日間過ごした後、通常の成長条件下で再生することができたという。

 

また「500Gy」の線量のガンマ線に曝された後も、新しい成長を促したそうだ。

 

その後、中国の研究者たちは、火星と同じような気圧、温度、ガス、紫外線の環境を作ったという。

 

その結果、この苔は火星のような環境で生き残り、7日間の曝露後でも、通常の成長条件下で再生できることがわかったそうだ。

 

研究論文において研究者は「将来を見据えて、この有望な苔を火星や月に持ち込み、宇宙での植物の定着と成長の可能性を、さらにテストできると期待しています」と述べている。

 

今回の研究には限界も

 

この研究には関与していない、アメリカ・フロリダ大学の苔の専門家である、スチュアート・マクダニエル教授は、このアイディアにはメリットがあると指摘、次のように述べている。

 

「この研究論文は、非常に高いレベルの放射線、非常に低い気温、非常に低い酸素レベルなど、火星への旅で遭遇する可能性のある、いくつかのストレスに、砂漠の苔が短時間曝露されても生き残ることを示しているため、興味深いものです」

 

ただし、マクダニエル教授は「これらの実験は重要な第一歩ではあるが、火星の環境下で苔が重要な酸素源となり得ることを示しているわけではなく、また砂漠の苔が火星の環境で再生・増殖できるかどうかも示していない」とし、今回の研究には限界があるとも付け加えている。(了)

 

出典元:The Guardian:Scientists find desert moss ‘that can survive on Mars’(6/30)

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