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米のスパイ衛星がカホフカ・ダムで熱信号を検知、爆破説が強まる

米のスパイ衛星がカホフカ・ダムで熱信号を検知、爆破説が強まる
Twitter/OSINTtechnical

先日、ウクライナにあるノヴァ・カホフカ・ダムが決壊したが、自然に崩壊したのではなく、爆破されたとの見方が強まっている。

 

ダムで地震の信号を検知

 

まずノルウェーの地震観測機関「Norsar」は6月7日、カホフカ・ダムで爆発があったことを示す地震データを公表した。

 

この時、ルーマニアの地域観測所から明確な地震のシグナルが確認されており、これにより6月6日の午前2時54分に、カホフカ・ダムで爆発があったとの見方を示した。

 

下の図は、カホフカ・ダムから約620km離れたルーマニアのブコビナ(BURAR)地震観測所からの信号だという。

 

NORSAR

「我々の仲間がやった」

 

またウクライナ保安庁(SBU)は6月9日、ロシア兵がダムの爆破について電話で語る通信を傍受し、それをテレグラムで公開した。

 

約90秒間の会話の中で、2人はダムの破壊について話し合い、1人はウクライナ人が行ったと仮定していたが、もう1人のロシア兵は「我々の仲間がやった」と訂正していた。

 

さらにその発言者は、「我々の破壊工作集団はそこにいた。彼らはこのダムで恐怖を与えようとした。しかし、計画通りにはいかなかった。彼らが計画した以上にね」と語っている。

 

SBUはこの通話を6月8日に傍受したとしているが、この会話を交わした人物が誰なのか、また時間や場所なども明らかにしていない。(音声記録は犯罪捜査の一環であるためと主張)

 

米スパイ衛星が熱信号を検知

 

さらにニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカのスパイ衛星がダム決壊の直前に、爆発を検知したと報じている。

 

この情報は、バイデン政権の高官によってもたらされ、それによれば、赤外線センサーを搭載した衛星が、ダムが崩壊する直前に、大爆発と一致する熱信号を検出したという。

 

ただしアメリカの情報機関も、ダム破壊の背後にロシアがいると疑っているものの、まだどちらが破壊に関与したのかについては、確たる証拠を持っていない。

 

バイデン政権の高官も、ダムが事前にダメージを受けていた可能性や、水圧の高まりによって崩壊した可能性も否定していない。

 

「発電所は核攻撃にも耐えられる」

 

一方、ウクライナの水力発電会社「Ukrhydroenergo」の局長であるIhor Syrota氏は、ウクライナの砲撃や、構造上の致命的な欠陥によってダムが崩壊した可能性があるという指摘は、「ロシアのプロパガンダだ」と述べている。

 

Syrota氏は、ガーディアン紙のインタビューにおいて、次のように語っている。

 

「発電所は核攻撃にも耐えられるように設計されています。外部から破壊するには、少なくとも3発の航空機爆弾(1発500kg)を同じ場所に投下しなければならなかった。発電所は内部から爆破されたのです」

 

さらにSyrota氏は「彼ら(ロシア軍)は、そこに数百キロの爆薬を持ち込んでいました。ウクライナは昨年、発電所に爆発物(地雷)が敷設されたと報告していました。ロシア側は爆破するタイミングを待っていたのです」(了)

 

出典元:The Guardian:Seismic data adds to evidence Ukraine’s Kakhovka dam was blown up(6/9)

出典元:NORSAR:Seismic signals recorded from an explosion at the Kakhovka Dam in Ukraine(6/7)

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