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恐竜を絶滅に導いた隕石、炭素を多く含んだ小惑星だった可能性

恐竜を絶滅に導いた隕石、炭素を多く含んだ小惑星だった可能性
flickr_NASA Universe

約6600万年前に、地球に落下し、恐竜を絶滅に追い込んだ隕石。その調査が行われ、意外な結果が導き出された。(小惑星とは、宇宙空間を移動する岩石など。隕石は、そのうち地球に到達したもの)

 

「ルテニウム」の異なるタイプを調査

 

この調査を行ったのは、ドイツのケルン大学などの研究チームだ。

 

彼らは、約6600万年前の隕石衝突後に地球上に堆積した地層において、白金族元素の1つである「ルテニウム」の異なるタイプ(同位体:陽子が同じで、中性子が異なる)を調査したという。

 

研究チームが「ルテニウム」を研究対象に選んだのは、この金属が地球の地殻では非常に希少であるためだ。

 

しかも6600万年前の地層には、衝突した隕石の痕跡が含まれているが、そこで見つかる「ルテニウム」は、ほぼ100%小惑星(隕石)由来であると言えるそうだ。

 

小惑星の「ルテニウム」の組成とほぼ一致

 

研究チームは、デンマークやイタリア、スペインの地層で見つかったサンプルが、全て同じ「ルテニウム」の同位体組成を示していることを発見。しかもそれらが、地球上で一般的に見つかる「ルテニウム」の組成とは異なっていたという。

 

さらにデンマークなどで発見された「ルテニウム」の同位体は、炭素質(C型)小惑星で得られた「ルテニウム」の平均組成と一致していたそうだ。

 

このことから研究チームは、恐竜絶滅の原因となったメキシコのユカタン半島にある「チクシュルーブ・クレーター」が、この炭素質に富んだC型小惑星の衝突によって形作られたとの結論を導き出した。

 

「アステロイド・ベルト」から飛来した可能性

 

炭素質の小惑星は、太陽系の初期、木星の軌道の外側で形成されたと考えられるが、地球に衝突した小惑星がどこから来たのかは、正確には明らかになっていない。

 

ただC型小惑星が現在、火星と木星の間にある「アステロイド・ベルト(小惑星帯)」で発見されているため、地球に衝突した小惑星もそこから来た可能性が考えられている。

 

研究チームは現在、約2億年前の中生代三畳紀末、史上4回目の大量絶滅を引き起こしたと考えられる隕石衝突に関連する堆積物を調べているという。

 

今回の研究論文の共著者で、ケルン大学のマリオ・フィッシャー=ゲッデ氏は、次のように述べている。

 

「恐らくこの方法で、C型小惑星の衝突が地球上で大量絶滅を引き起こす可能性が高いかどうかが、分かるかもしれません」(了)

 

出典元:The Guardian:Crater formed from Earth’s extinction event produced by carbon-rich ‘C-type’ asteroid, scientists suggest(8/15)

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