ヨーロッパで最も温暖化が進む、世界平均の2倍の速さとの報告
先日、ある報告書が発表され、ヨーロッパが世界で最も早く温暖化が進んでいる地域だと指摘された。
1980年代以降、世界平均の2倍
欧州連合(EU)の気候変動サービス機関である「コペルニクス」と、世界気象機関が6月19日に発表した報告書によると、ヨーロッパは1980年代以降、世界平均の2倍の温暖化が進んでいるという。
実際にベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、スペイン、スイス、イギリスを含む国は、2022年には記録上最も暑い年を迎えたそうだ。
またヨーロッパの2022年の年平均気温は、記録上2位から4位の間で、1991年から2020年の平均を約0.79℃上回る異常値だったという。
Climate change is taking a major human, economic and environmental toll in Europe, the fastest-warming continent of the world.
This is the #StateOfClimate in Europe. https://t.co/jlwJEbp6Qr pic.twitter.com/k9madD0vxM
— World Meteorological Organization (@WMO) June 19, 2023
「猛暑がより激しくなる可能性」
2022年の夏、ヨーロッパでは繰り返される熱波、記録的な気温により、1度のイベントで1100人以上の熱関連死が発生したそうだ。
また2022年、ヨーロッパでは産業革命前の平均気温、つまりパリ協定で基準値として用いられる1850年から1900年の気温を約2.3度も上回っていたという。
「コペルニクス」のディレクターであるCarlo Buontempo氏は声明で、次のように述べている。
「猛暑を伴う夏は今後、地域全体で頻繁に、より激しくなる可能性が高いでしょう。2022年にヨーロッパ人が経験した記録的な暑さのストレスは、ヨーロッパにおける気象関連の超過死亡の主な要因の1つでした。残念ながら、これは一過性の出来事や気候の奇妙な出来事とみなすことはできません」
多くの人が「熱ストレス」で死亡
2022年のヨーロッパにおける気象、水文、気候関連のリスクにより、1万6365人の死者が確認されており、彼らの多くは「熱ストレス」により死亡していたという。
またヨーロッパの氷河は、1997年から2022年までに約880立方キロメートルの氷の体積を喪失。アルプス山脈が最も大きな影響を受け、氷の厚さが平均34メートル減少したそうだ。
2022年も、ヨーロッパ・アルプスの氷河は冬の積雪量が非常に少なく、夏が非常に暖かく、サハラ砂漠の塵が堆積したことにより、1年で「前例のない」質量減少を経験したと言われている。
一方で、報告書では、再生可能エネルギーの「希望ある未来」を指摘しており、2022年に初めて、ヨーロッパでは化石燃料よりも多くの電力を再生可能エネルギーが発電したという。
風力発電と太陽光発電は、2022年に欧州連合(EU)の電力の22.3%を生み出し、20%の化石燃料を追い越した、と研究者は述べている。(了)
出典元:ABC News:Europe is fastest-warming continent on planet, according to new report(6/20)