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フィリピン政府、ノーベル賞受賞者が運営するサイトに閉鎖命令

フィリピン政府、ノーベル賞受賞者が運営するサイトに閉鎖命令
YouTube/Nobel Prize

2021年10月、「表現の自由を守る」ための努力が評価され、ノーベル平和賞を受賞したマリア・レッサ氏。しかし彼女が運営するサイトが先日、フィリピン当局によって事実上の閉鎖を命じられた。

 

ドゥテルテ氏が退任する前日に閉鎖命令

 

フィリピン当局は6月29日、レッサ氏(米国籍)が運営するニュース会社「ラップラー」の閉鎖を命じたという。

 

この日はロドリゴ・ドゥテルテ大統領が退任する前日となっており、閉鎖命令はフィリピン証券取引委員会から出されたそうだ。

 

フィリピン証券取引委員会は声明において、「マスメディアの外国人所有に関する憲法上および法律上の制限」に違反したとして、ラップラーの「法人設立証明書の取り消し」を確認したと発表した。

 

これに対し「ラップラー」社は、この決定が同社の事実上の閉鎖につながるものだとし、この手続きを「極めてイレギュラー」だと表現し、訴えを起こすことを誓ったという。

 

大統領が名指しでサイトを批判

 

レッサ氏は、ドゥテルテ大統領が2016年に始めた麻薬の厳しい取り締まりを批判し続けており、これまでもフィリピン政府から弾圧を受けてきたと言われている。

 

実際に「ラップラー」は、ドゥテルテ政権から、外国人の所有を禁止する憲法に違反し、脱税していると非難されてきたという。

 

そして2012年に導入された新しい刑法「サイバー名誉毀損罪」でも告発されている。

 

またドゥテルテ大統領も、自身の最側近の一人に関する記事をめぐって、このウェブサイトを「フェイクニュース機関」と名指しで攻撃しているとか。

 

7件の裁判で戦っている

 

レッサ氏は現在も、サイバー名誉毀損事件での有罪判決に対する控訴など、少なくとも7つの裁判(8件とも)で戦っており、現在彼女は保釈中の身で、裁判で負ければ最高で6年の禁固刑になる可能性があるという。

 

しかしラッサ氏は、今回の閉鎖命令についても、法的手続きを踏んでいる間にニュースサイトの運営を継続すると宣言。また「ドゥテルテの後継者であるフェルディナンド・マルコス・ジュニアの下で最善を望むしかない」とも語っている。

 

国際ジャーナリストセンターは、フィリピン政府に対し、ラップラー社の閉鎖命令を撤回するよう要求し、次のように投稿した。

 

「このような法的嫌がらせは、ラップラーに時間、お金、エネルギーを費やすだけではありません。独立した報道を冷え込ませるための容赦ない大量のネット暴力が可能になります」(了)

 

出典元;CNA:Philippine news site Rappler ordered to shut down; Ressa says ‘business as usual’(6/29)

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