アップルが古い機種のスマホの速度低下を認め、複数の訴訟が起こされる
先日、アップルは古いiPhoneの速度が低下していることを認めたが、これに対しアメリカでは複数の訴訟が起きている。
速度が遅くなったことで損害賠償
その訴訟が行われているのはカリフォルニア州と、イリノイ州にあるシカゴとされている。
訴えを起こしたのはiPhoneユーザーのグループで、彼らはほかの利用者を代表して、経済的損失を被ったとしてアップルに対し、損害賠償を求めているという。
これらの訴訟は先日、アップルが古い機種のiPhoneの速度が低下したことを認めてから起こされたと言われている。
アップルのiPhoneの古い機種については、OSをアップデートしたところ、動作が極端に遅くなったという不満の声が相次いでいた。
と同時に、新しい機種に買い替えさせることを狙ったアップルの戦術ではないかとの臆測も飛び交っていたそうだ。
製品情報を違法に隠した罪にあたる?
カリフォルニアでの裁判記録によれば、訴えを起こしたのはロサンゼルスに住んでいる、iPhoneユーザーのStefan Boganovich氏とDakota Speas氏だという。
両者はアップルが古いiPhoneの速度を低下させて干渉したことについて、自分たちは決して同意していないと主張。
さらにこの結果、iPhoneの利用機会や価値の損失を招き、速度低下に伴いバッテリーを購入せざるを得なかったと主張しているとか。
またシカゴでの訴訟を起こした原告の代理人である、Sulaiman法律グループのJames Vlahakis氏は、アップルが速度の変更を顧客に知らせなかったのは、iPhoneのパフォーマンスに関する混乱を引き起こし、目的をもって行われた可能性もあると指摘。
もしこのことが証明されれば、これは製品の情報を違法に隠した罪に当たる可能性もあると語っている。
またVlahakis氏はアップルの対応が、イリノイ州やインディアナ州、ノースカロライナ州の消費者詐欺の法律に直接違反する可能性もあると主張しているそうだ。
電源が落ちるのを防ぐ仕様が原因か?
そもそもアップルは21日に、ソフトウェアのアップデートを行い、古いiPhoneの性能に制限を加えていたことを確認する異例の声明を発表。
その中で、リチウムイオンバッテリーの性能は年月が経つにつれて低下するため、部品を守る目的で、不意にiPhoneの電源が落ちることがあると説明した。
またそもそも「iPhone6」「同6s」「同SE」「同7」向けのOSのアップデートは、ピーク時の電力需要を「円滑化」して不意に電源が落ちる事態を防止することで、結果的にバッテリーの長寿命化を図る仕様になっていたという。
しかし、それが反応速度の極端な低下を招くことにつながったとされている。
ただし専門家の間でもさまざまな見方があるようで、今後もこの裁判の行方が注目されている。(了)
出典元:BBC:Apple faces lawsuits over slowed iPhones(12/22)