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イスラエルの元首相、ガザ地区に関するトランプ氏の提案を「ファンタジー」と一蹴

イスラエルの元首相、ガザ地区に関するトランプ氏の提案を「ファンタジー」と一蹴
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アメリカのトランプ大統領は先日、ガザ地区の住民を移住させ、再開発すると提案したが、イスラエルの元首相はその案を一蹴した。

 

「誰もが真剣に考える計画ではない」

 

1999年から2001年にかけてイスラエルの首相を務めたエフード・バラク氏は、イスラエル陸軍のラジオ番組に出演し、トランプ大統領のガザ地区に関する提案を「中途半端」だと指摘、「ファンタジー(幻想)」だと一蹴した。

 

またバラク氏は、トランプ氏の提案について「これは、誰もが真剣に考えるような計画ではないように思える」と発言。「おそらく、イスラエルへの支持を表明する試みだ」との見方を示した。

 

実際、多くの専門家も、ガザ地区にいる200万人以上のパレスチナ人を強制移住させることの実現性に疑問を抱いている。

 

ただバラク氏は、トランプ大統領の提案が、アラブ諸国の指導者に圧力をかけるための試みかもしれないと示唆。「(アラブ諸国が)ガザ地区での現実的な道筋を提案し、ハマスを権力から排除するのを助けなければ、これが待ち受けている」と警告したという。

 

「強制移住は民族浄化に相当」

 

一方、ニューヨークに拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の中東担当副局長、アダム・クーグル氏は、トランプ氏の計画が実施されるかどうかは不明だが、その意図表明は「非常に懸念される」とし、次のように述べた。

 

「もしそれ(移住)が国家政策に変容すれば、民族浄化に相当する可能性がある。そして、意図を持って行われたとすれば、それは強制的な移住となる。さらに、その強制的な移住が国家政策として、民間人に対する組織的かつ広範な攻撃の一環として行われたとすれば、それは実際に人道に対する罪となるだろう」

 

トランプ氏とイスラエル側は、この計画を「自発的な移住」としており、他国に対し、移住を望むパレスチナ人を受け入れるよう呼びかけているが、多くのパレスチナ人はガザ地区に留まりたいと主張している。

 

クーグル氏は、各国が個々の亡命申請を検討する義務はあるが、「ガザ地区の住民全員の強制的な移住に参加する義務はない」とも述べている。

 

トランプ氏が「派兵は不要」と発言

 

一方、トランプ大統領もガザ地区に関する発言を後退させており、2月6日にはアメリカ軍の派兵は「不要」だとの見方を示した。

 

トランプ大統領は先日の記者会見で、ガザ地区へアメリカ軍を派兵することに前向きな姿勢を示したが、6日にはSNSで「ガザ地区での戦闘が終われば、イスラエルがガザ地区をアメリカに引き渡し、その過程でアメリカ兵は不要だ」と述べたという。

 

トランプ氏の提案については、「アメリカ・ファースト」を信じ、もはや他国に干渉せず、軍を派遣しないと信じていた支持者からも批判を浴びており、「派兵をしない」との発言は、その反応を受けたものと考えられている。

 

一方、イスラエルのカッツ国防相は、自ら希望し、移住したいと望むガザ地区の住民のために、計画を策定するよう軍に命じたという。

 

イスラエルが重機の搬入を禁止

 

ガザ地区では多くの住民が瓦礫の撤去に追われているが、民間防衛隊や複数の組織は、イスラエルがガザ地区への重機の搬入を禁止していると非難している。

 

ガザ地区・民間防衛隊の広報担当者は「移動住宅や重機はガザ地区に入っていない。イスラエルはガザ地区への装備の搬入を、頑固に先延ばしにしている」と述べた。

 

ガザ地区では、イスラエル軍の攻撃で膨大な数の住宅が被害を受け、多くのパレスチナ人が使い古したテントで暮らし、非常に厳しい冬の嵐に耐えているという。

 

またイスラエル軍は2月6日、停戦中であるにも関わらず、ガザ地区中部のヌセイラト難民キャンプで、パレスチナ人の男性を射殺したと報じられている。(了)

 

出典元:Aljazeera:LIVE: Trump says Gaza will be ‘turned over’ to US by Israel after the war(2/6)

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