韓国で1つの文化が終了へ。犬肉の生産と販売を禁止する法案が通過
1月9日、韓国の国会にて、犬肉の生産と販売を禁止する法案が圧倒的多数で可決された。韓国では犬の肉を食べる文化があり、今回の法案により1つの食習慣が消えることとなる。
2027年に施行予定
今回の法案では、肉用の犬の繁殖、屠殺、流通、販売が禁止され、違反者には最高3年の懲役または最高3000万ウォン(約329万円)の罰金が科せられる。施行は2027年となり、3年の猶予期間が設けられた。
韓国の農林畜産食品部による「食用犬の飼育・流通実態調査」では、韓国国内に登録されているだけでも、食用犬農場が1156か所、屠畜場が34か所、流通業者が219か所、犬肉販売店が1666か所存在している。
食用犬の保護活動をしている「Free Korean Dogs」は、登録されていない企業もあり、実際の数字はさらに多くなる可能性が高く、最大で年間100万頭の犬が屠殺されていると考えているそうだ。
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業界を撤退する犬肉農家、貿易業者、屠殺業者、犬肉販売店などは、事業の移行や廃業を支援するための補償がされるという。ただし、補償は登録されている企業に限られる。
この禁止令は、賛成208票、棄権2票という圧倒的な得票数で可決された。
韓国国内でも廃れかけていた文化
韓国ではペットとして犬を飼う家庭も増えており、Humane Society International /Koreaの委託を受けたニールセン・コリアの調査では、将来的に犬肉を消費する可能性が低い韓国人は86%であり、57%が禁止に賛成しているとのこと。
さらに、ソウルに拠点を置くシンクタンク「Animal Welfare Awareness, Research and Education」が2024年に入ってから発表した調査では、回答者の94%以上が「過去1年間に犬肉を食べていない」と回答。「今後も犬肉を食べない」と回答したのは93%にものぼる結果となった。
1つの文化が終わりを迎えた韓国だが、この変化を喜ぶ声は国内にも多そうだ。(了)
参考:The Guardian「South Korea passes bill banning production and sale of dog meat」(1/9)
参考:Free Korean Dogs「South Korea Moves to Ban Dog Meat Trade」(2023/11/20)