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トランプ大統領、南アフリカの白人に移住を許可するも、拒否される

トランプ大統領、南アフリカの白人に移住を許可するも、拒否される
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トランプ大統領は先日、南アフリカ共和国で「白人が差別を受けている」として、彼らをアメリカへ移住させることを許可する大統領令に署名した。

 

白人をアメリカに再定住させると提案

 

トランプ大統領は、南アフリカのラマポーザ大統領が先月署名した土地収用法を批判し、またガザ地区でのジェノサイドの容疑で国際司法裁判所(ICC)にイスラエルを提訴したとして、南アフリカへの支援の一部を凍結する大統領令に署名したという。

 

またトランプ大統領は、「南アフリカで不当な人種差別の被害者となっているアフリカーナー(白人)を難民として、アメリカに再定住させる」とも述べたそうだ。

 

アフリカーナーとは、主に初期のオランダ人とフランス人入植者の白人の子孫で、南アフリカの農地の大半を所有している。

 

しかし、そのアフリカーナーの団体は、トランプ大統領の「移住」の申し出には、「応じない」姿勢を示したという。

 

「歴史を認識していない」

 

南アフリカが独立した時、イギリスの植民地支配者は、農地のほとんどを白人に譲り渡したと言われている。また1950年、アパルトヘイトの時代には、白人の政党「国民党」が土地の85%を接収し、350万人の黒人を家から追い出したそうだ。

 

その後、黒人の政党「アフリカ民族会議」が政権を握ってから、アパルトヘイトが終わるが、現在も南アフリカの人口6300万人のうち7.2%の白人が、私有地の4分の3を所有しているという。

 

にもかかわらず、南アフリカ生まれのイーロン・マスク氏は、「南アフリカの白人は、人種差別的な土地所有法の犠牲者だ」と非難していた。

 

そしてトランプ大統領も、人種間の土地所有格差を解消し、国家が公共の利益のために土地を収用しやすくすることを目的とした、ラマポーザ大統領の土地収用法を非難。

 

大統領令に署名する際にも、南アフリカ政府が白人の土地を没収しており、特定の階層の(白人の)人々が「非常にひどい」扱いを受けていると述べたという。

 

しかしこれは完全に理解が欠如しており、南アフリカ外務省も2月8日、トランプ氏の大統領令は「事実の正確性に欠け、南アフリカの植民地主義とアパルトヘイトの深く痛ましい歴史を認識していない」と述べた。

 

南アフリカの白人団体が軒並み拒否

 

またトランプ大統領は、南アフリカのアフリカーナーを難民として、アメリカに再定住させると申し出たが、各団体に拒否されている。

 

「白人が差別されている」と訴えてきたアフリカーナー主導の団体「アフリフォーラム」も、トランプ氏の「難民としての再定住」の申し出には応じないと明らかにした。

 

また約60万のアフリカーナー世帯と200万人の個人を代表する団体「連帯運動(Solidarity Movement)」も、トランプ氏の申し出を拒否。次のように述べた。

 

「我々はアフリカ民族会議(ANC)に反対するかもしれないが、国を愛している。どのコミュニティにも移住を望む人がいるが、アフリカーナーを難民としてアメリカへ送還することは我々にとって解決策ではない」

 

さらにオランダ系白人のみで構成された町、オラニアの代表者も、トランプ氏の申し出を拒否。「アフリカーナーは難民になりたくない。我々は祖国を愛し、祖国に献身している」と述べたという。

 

しかも「連帯運動」の代表者は、トランプ氏が南アフリカへの支援を停止したことも非難。「我々は南アフリカに対する制裁や、アメリカ政府による脆弱な人々への支援の打ち切りを求めていないし、今後も求めない」と主張したそうだ。

 

ここまで拒否されると、トランプ大統領が哀れに思えてくるが、よく検討せず、半ば思い付きで政治を行っているため、仕方がないのかもしれない。(了)

 

出典元:Aljazeera:‘No thanks’: White South Africans turn down Trump’s US immigration offer(2/9)

出典元:Rueters:Trump signs order to cut funding for South Africa(2/9)

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