オスのアマゾンカワイルカが、水面で仰向けになり空中に放尿【動画】
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南米のアマゾン川に生息するカワイルカが、あまりにも意外な行動をしたとして、科学者を困惑させている。
36回も同様の事例を確認
カナダの「CetAsiaリサーチグループ」の研究者らは、4年間に渡り、アマゾン川を訪れ、カワイルカの社会的交流を注意深く観察してきたという。
そして最近、科学誌「Behavioral Processes」に研究結果を発表し、「ボト」という名前のオスのアマゾンカワイルカ(Inia geoffrensis)が、しばしば仰向けに転がり、3フィート(約91cm)以上も空中に放尿していることを報告した。
しかもその事例は36回もあり、決してランダムではなく、「ボト」はどうやら目的をもって放尿していると考えられている。
別のオスが尿の流れを追う
研究チームの説明によれば、「空中への排尿は、ボトがゆっくりと逆さま(仰向け)になり、ペニスを水面上に露出させ、尿の流れを空中に放出することから始まる」という。
しかもその時、別のオスのカワイルカが付近を泳ぎ、空中に放出された尿が着水した時、しばしばその尿の流れに近づいて行ったそうだ。
さらに他のカワイルカが、鼻先(くちばし)を使って、尿の流れを追うこともあったという。
研究著者のClaryana Araújo-Wan氏も、科学メディア「サイエンティスト」に対して、「これまで見たことがなかったものだったので、本当にショックでした」と語っている。
尿はコミュニケーション・ツール
そもそも尿は、犬やクマ、猫など、多くの陸生動物が使用する一般的なコミュニケーション・ツールで、水生環境で見られる頻度ははるかに少ないが、事例はあるそうだ。
実際、「アフリカ・シクリッド」と呼ばれる魚は、尿の脈動から生殖と縄張りの両方の情報を読み取るという。一方、ナミザリガニも攻撃の合図として排尿するそうだ。
ただイルカは嗅覚と味覚が弱いため、尿の流れをどのように解釈しているのかは、まだはっきりしていない。
研究論文の著者らは、オスのアマゾンカワイルカが鼻先の毛を頼りに、「ボト」の尿の成分、例えば身体的健康や社会的地位を示すホルモン含有量などを解釈しているのではないか、と仮説を立てている。(了)
出典元:Popular Science:Male Amazon river dolphins pee into the air, confusing scientists(1/31)