「和平合意を危うくしている」トランプ氏が再びゼレンスキー氏を非難

アメリカのトランプ大統領は、ロシアとの和平合意の成立を危うくしているとして、ウクライナのゼレンスキー大統領を批判した。
クリミア半島の承認に異議
現在、アメリカは水面下でロシアと和平合意について交渉しており、まだ明確にはされていないが、合意案には、クリミア半島をアメリカ政府が承認すること、ウクライナのNATO加盟を認めないこと、またロシア軍占領地を承認することなどが含まれているという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、これらの報道を受け、4月22日には「ウクライナはクリミア半島の(ロシアによる)占領を承認しない」と述べ、承認すれば同国の憲法に抵触すると主張した。
これに対し、トランプ大統領は4月23日、「この(ゼレンスキー氏の)発言はロシアとの和平交渉にとって非常に有害だ」と投稿。ウクライナの大統領が「扇動的な発言」をし、「この戦争の解決を非常に困難にしている」と非難したそうだ。
「ロシアの支配権は、議論の余地なし」
トランプ氏は、SNSで「クリミア半島はバラク・オバマ大統領時代の2014年、何年も前に失われた」とし、ロシアの支配権は「議論の余地もない」と投稿したという。
また、アメリカ政府がクリミア半島をロシア領と承認する意思があることを示唆した上で、トランプ氏はウクライナがクリミアを防衛できなかったと非難。「もしウクライナがクリミアを望むなら、11年前、一発の銃弾も撃たれることなくロシアに引き渡された時に、なぜ彼らは戦わなかったのか?」と疑問を呈した。
ロシアは2014年3月、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領がウクライナから追放された後、政治的混乱の最中に、クリミアを一方的に併合。武装勢力が地方議会と空港を占拠し、その後行われた住民投票では、97%がロシアへの編入に賛成したとされている。
しかしこの住民投票は、アメリカやイギリス、EUのいずれからも合法とは認められていない。
ロシアの立場を積極的に支持
イギリスのシンクタンク、王立統合安全保障研究所のMatthew Savill氏は、「アメリカがロシアによるクリミア支配を承認することは、武力で奪われた領土を法的に承認することであり、ヨーロッパの立場とウクライナの政治に反し、ロシアの立場を積極的に支持することになる」と述べている。
ゼレンスキー大統領は、和平合意というよりも、まずは無条件の停戦を提案していたが、アメリカ側はこれを受け入れていない。
また4月23日にイギリスのロンドンでウクライナ和平サミットが開かれたが、これにアメリカのルビオ国務長官は参加しなかったという。
4月23日の早朝には、ウクライナ東部のドニプロペトロウシク州にあるMarhanets市で、作業員を乗せたバスがロシア軍の無人機に襲われ、9人が死亡したと報じられている。(了)
出典元:The Guardian:Trump accuses Zelenskyy of jeopardising imminent peace deal(4/23)