ネタニヤフ首相、新たな軍事作戦で大量の住民を強制移住させると宣言

イスラエルのネタニヤフ首相は、新たな作戦で攻撃を激化させ、ガザ地区を征服し、大量の住民を移動させることになると明らかにした。
イスラエル軍が占領した領土を維持
イスラエルの安全保障会議は5月4日、ガザ地区での新たな軍事作戦を承認。その後、ネタニヤフ首相は、ガザ地区でイスラエル軍が占領した領土を維持し、撤退せず、住民の大規模な移動を伴うことになると明らかにした。
イスラエル軍の報道官も声明で、「『ギデオンのシャリオット(戦車)作戦』と名付けられたこの新たな攻勢は、大規模な攻撃と、ガザ地区住民の大部分の移動を含む」と明言した。
この作戦は、従来のガザ地区における攻勢の目的をはるかに超えるものであり、住民の強制移住は、ジェノサイドの一部を構成する。
国連や各国が非難
国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官は、「これは必然的に、さらに多くの民間人の殺害と、ガザ地区のさらなる破壊につながるだろう。ガザ地区は、将来のパレスチナ国家の不可欠な一部であり、今後もそうあり続けなければならない」と指摘した。
イギリス外務省の報道官も「イギリスは、イスラエルによるガザ地区での軍事作戦の拡大を支持しない。戦闘の継続は誰の利益にもならない」と非難したという。
アイルランドのサイモン・ハリス外相も声明を発表し、「イスラエルによるガザ地区での作戦拡大は、既に深刻な人道状況に直面しているパレスチナの住民に、さらなる死傷者と計り知れない苦しみをもたらすだろう。ガザの人々に対して起こっていることは、卑劣で非道だ」と強い憤りを示した。
フィンランドのElina Valtonen外相も、イスラエルの軍事作戦拡大計画に「深い懸念」を示し、「私は改めて、すべての当事者に対し、停戦に戻るよう、そしてハマスに対し、残りの人質を直ちに解放するよう強く求める。イスラエルは、ガザへの人道支援が妨げられることなく、確実に受けられるようにしなければならない」と述べた。
フィンランドはイスラエルのガザ侵攻に対する批判を強めており、Valtonen外相も今年の1月、「イスラエルの自衛の主張はもはや説得力がなく、もううんざりだ」と述べていた。
2日間で70人以上が死亡
ガザ地区では5月5日の夜明け以降、全域でイスラエル軍の攻撃により、少なくとも51人が死亡したという。
また前日の5月4日も、少なくとも24人のパレスチナ人が殺害されており、犠牲者の大半は女性や子供だとされている。
5月4日にはガザ地区南部のハンユニスへの空爆で、6人が死亡。犠牲者には、アル・マワシ地区のアパートにいた5歳と2歳の男児2人も含まれていたという。
しかもガザ地区では国境が封鎖され、支援物資の搬入が阻止されているため、多くのパレスチナ人が飢餓の脅威にさらされている。
そんな中、イスラエル軍はさらに攻撃を強化するため、6万人の予備役を招集したと言われている。
滑走路付近に大きなクレーター
一方、イエメンの「フーシ派」は先日、イスラエル国内の空港を攻撃したが、その詳細が明らかになっている。
「フーシ派」は5月4日、ミサイルを発射し、イスラエルの都市、テルアビブにあるベン・グリオン空港を攻撃。空港では煙が立ち上り、ターミナルビルの乗客にパニックを引き起こしたという。
またミサイルは同空港最大のターミナル3の駐車場付近に着弾し、クレーターが滑走路からわずか数百メートルの地点にできていたそうだ。
クレーターは幅数十メートル、深さ数十メートルもあり、イスラエル空港局は「ターミナルと滑走路のこれほど近くに、ミサイルが落下したのは初めてだ」と述べている。
またイスラエルの救急医療サービスは、このミサイル攻撃で4人が軽傷を負ったと明らかにした。
Video shows damage to Israel’s Ben Gurion airport, after debris from a missile fired from Yemen fell nearby, in the fourth Houthi attack since Friday. Local media says several people are injured and flights have been suspended. pic.twitter.com/AWkGJgVv0U
— Al Jazeera English (@AJEnglish) May 4, 2025
各航空会社に欠航の要請
その後、「フーシ派」の報道官は声明を発表し「イスラエルがガザ地区への侵略的戦争を拡大していることへの報復として、イスラエルの空港を繰り返し標的とし、包括的な航空封鎖を課す」と述べた。
そして「フーシ派」は各航空会社に対し、「航空機と乗客の安全を守るため、敵の空港へのすべてのフライトを欠航させるよう」強く求めたという。
この声明により、多くの国際航空会社がテルアビブへのフライトをキャンセルしたそうだ。
迎撃ミサイルの技術的な故障か
一方、イスラエル軍は、「フーシ派」のミサイルが命中したのは、迎撃ミサイルの故障が原因だと発表した。
イスラエル軍は、イエメンから発射された弾道ミサイルに対し、迎撃ミサイルの技術的な故障が原因であった可能性が高いことが示唆されたとし、次のように述べた。
「初期調査の結果、識別プロセス、迎撃システムの作動、そして国内への警報に不具合は見られなかった。調査結果によると、ミサイルに向けて発射された迎撃ミサイルの技術的な故障である可能性が高い」
イスラエル軍はこの報復として、5月5日には戦闘機30機からなる飛行隊により、イエメンへの空爆を実施したという。
「フーシ派」系メディアは、イスラエル軍の戦闘機により、Hodeidah港とBajil市にあるセメント工場が空爆され、2人が死亡、42人が負傷したと報じている。(了)
出典元:The Guardian:Netanyahu says new offensive in Gaza focused on consolidating seizure of territory(5/5)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel launches air strikes on Yemen a day after Houthi attack(5/5)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel kills 40 as ‘world complicit’ in starvation of Gaza children(5/4)