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中国での迫害から逃れた盲目の人権活動家、陳光誠氏が初来日、日本の役割にも期待を示す

中国での迫害から逃れた盲目の人権活動家、陳光誠氏が初来日、日本の役割にも期待を示す
アムネスティ・インターナショナル日本 陳光誠氏

中国当局の迫害から脱出し、2012年に渡米した盲目の人権活動家、陳光誠(Chen Guangcheng)氏(45)が初来日した。

 

「人権大国」として日本にも期待

 

都内でインタビューを行った時事通信によれば、陳氏は「一人っ子政策」のため山東省当局が中絶を強制している実態を告発して実刑判決を下され、出所後も違法な自宅軟禁状態に置かれて、当局から暴力を受け続けたという。

 

陳氏は時事通信の取材に対し、「民主的で自由な国家を建設できないまま中国が強国化すれば、全世界の災難になる。隣国の日本は大きな影響を受けるだろう」と述べ、北京で開催中の共産党大会で習近平国家主席が打ち出した強国路線に警鐘を鳴らした。

 

さらに「中国は現在最大の独裁国家だ。その(民衆への)迫害は非常に強い」と批判。「(共産党による)独裁体制が変わらなければ、中国の人権状況は真に改善しない」と訴えたという。

 

また、北朝鮮の核・ミサイル開発にも触れ、「もし中国が民主国家なら、国民は(北朝鮮の)独裁政権を絶対に支持しないだろう」と指摘。

 

中国独裁体制の存在が世界に影響を与えているとの見解を示し、「日本国民のためにも」中国民主化問題に重大な注意を払うよう日本政府に呼び掛けた。さらに「経済大国・日本には『人権大国』としての役割も担ってほしい」と期待を寄せている。

 

数千人の女性を強制的に堕胎させる

 

アムネスティ・インターナショナル日本によれば、中国では2005年頃に「一人っ子政策」により、数千人の女性が強制的に堕胎(臨沂市強制計画出産事件)させられており、村人らは地方政府が違法な政策を行っているとして告発しようとしていたという。

 

陳氏はこの「「臨沂市強制計画出産事件」を調査し、住民らの活動を援助していたが、中国当局により2005年9月から自宅に軟禁されてしまう。

 

その後も外部との連絡を遮断されたまま3カ月間も拘禁され、2006年6月に「公共の財産を損壊し、人を集めて交通を妨害した」として起訴。

 

2006年8月には山東省において、財物損壊罪と交通秩序撹乱(かくらん)罪で懲役4年3カ月の刑を言い渡されたそうだ。

 

陳氏の年老いた母親は、判決の内容を聞いた直後、「この社会には、人間の心が残されていない」と語っている。

 

アムネスティ日本によれば、陳氏の事件は、中国の弁護士や活動家が、恣意的に逮捕され、不公正な裁判の後に有罪判決を受けて入獄させられる典型的な例だという。

 

家族と出国するも、親族に報復が及ぶ

 

その後、陳氏は2010年9月9日に釈放されるも、直後から再び自宅軟禁状態に置かれ、2012年4月下旬、友人の助けを借りて脱出、アメリカ大使館に保護された。

 

国際的な批判と米中の交渉の結果、陳氏はニューヨーク大学への留学という形で出国が認められ、2012年5月19日に北京を発ち、妻と子供とともにニューヨークに到着したそうだ。

 

しかし現在、中国政府は、山東省に残された陳氏の親族に報復を始めており、監視体制は厳しさを増していると言われている。

 

実際に中国当局は、兄の陳光福さんの自宅に押し入り暴行。当時、息子の陳克貴さんは身を守るために3人を負傷させ、殺人容疑で逮捕されたという。

 

その後も中国当局は弁護士たちにこの事件に関わらないよう圧力をかけるなど、嫌がらせをしているそうだ。

 

「将来間違いなく変革が起きる」

 

1989年6月に起きた天安門事件。そこでは民主化を求める人びとが弾圧され、数百人の命が奪われた。

 

その後、中国は急速に経済成長を続けるも、人権のための改革は当時からほとんど変わっていない。

 

それでも、苦しむ人びとの代弁者となって、自らの危険もかえりみずに政府や国際社会に民主化や人権保障を求めている多くの活動家や弁護士、ジャーナリストは確実に増えているという。

 

陳氏も時事通信のインタビューにおいて、渡米後5年間の中国人権状況を「悪化している」と評す一方、共産党の激しい弾圧を受けながらも社会の変革を求める民間レベルの運動は広がっていると解説。

 

「既に民主化の土台は整っている。将来間違いなく変革が起き、民主的な体制に変わるだろう」と自信を示したそうだ。

 

陳氏はアムネスティ・インターナショナル日本の招待で来日し、10月29日に東京、11月4日には京都で講演を行うなど日本各地を回る予定とされている。(了)

 

講演の予定

 

【鎌倉講演(神奈川)】 >詳細・お申し込み
■10月28日(土)13:30~16:00(13:00受付)
■内容:陳光誠さんのお話(60分)/対談/質疑応答
■会場:鎌倉恩籠教会
■参加費:一般500円、学生・障がい者 無料

 

【東京講演】 >詳細・お申し込み
■10月29日(日)14:00~17:00(13:30受付)
■内容:城山英巳さんのお話(15分)/陳光誠さんのお話(60分)/対談/質疑応答
■会場:明治大学駿河台校舎アカデミーコモン
■参加費:無料

 

【徳島講演】 >詳細・お申し込み
■11月1日(水)18:30~20:30(18:00受付)
■内容:陳光誠さんのお話(60分)/質疑応答
■会場:とくぎんトモニプラザ
■参加費:無料

 

この後も広島や京都、名古屋でに講演が予定されている。詳しくはアムネスティ・インターナショナル日本のホームページへ。(http://www.amnesty.or.jp/human-rights/speaking_tour/2017/

 

 

出典元:時事通信:民主化なき「強国」に警鐘=日本は人権問題で役割を-中国の盲目活動家インタビュー(10/23)

出典元:アムネスティ・インターナショナル日本:「不屈力」-亡命から5年 盲目の人権活動家、陳光誠初来日!

出典元:アムネスティ・インターナショナル日本:陳光誠さん脱出後、兄の家族が標的に

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