豪に生息するイルカが、海綿を使って狩りをしていることが判明

オーストラリアに生息するイルカの一部が、海綿を使って狩りをしていることが、研究によって明らかにされた。
鋭い岩から身を守るため
7月16日に「Royal Society Open Science」誌に掲載された新たな研究によれば、オーストラリアに生息するイルカの中には、ピエロの鼻のように口に海綿をつけて狩りをするものがいるという。
海綿を使うのは鋭い岩から口などを守るためであり、そのイルカたちは口を覆った状態で泳ぎ、砂地の溝の底にある瓦礫をかき分け、餌となる「サンドパーチ(トラギス科)」を捕食するそうだ。
しかし、何世代にもわたって受け継がれてきたこの行動は、見た目以上に複雑であることが明らかになった。
非常に高度な訓練が必要
海綿を使った狩りは、確かに非常に効率的な捕獲方法だが、バンドウイルカなどが音を発して反響を聞き、方向を定めるといった「エコーロケーション」の感覚を阻害するという。
今回の研究論文の共著者である、デンマーク・Aarhus大学の海洋生物学者、エレン・ローズ・ジェイコブズ氏も、イルカが海綿をくわえた場合、「マスクをした時のように、音を覆う効果がある」と述べている。
つまり、この方法は目隠しをして狩りをするようなものであり、習得するには非常に優れた、高度な訓練が必要だと考えられるそうだ。
実際、研究者が調査した西オーストラリア州にあるシャーク湾でも、海綿を使った狩りをしていたイルカは約5%、つまり約30頭しかこの方法を習得していなかったという。
そもそもイルカの子は通常、母親と3~4年ほど一緒に過ごし、観察し、重要な生活スキルを学ぶと言われている。
研究論文の共著者で、ジョージタウン大学の海洋生物学者、ジャネット・マン氏によれば、「海綿狩り」という繊細な技術は「母親から子へとのみ受け継がれる」という。(了)
出典元:ABC News:Some Australian dolphins use sponges to hunt fish, but it’s harder than it looks(7/16)