アマチュアが発見した新しい紫色のオーロラ、初めて詳細な論文が発表される
以前、このサイトでも紹介した新しいタイプのオーロラについて、科学者が正式に論文を発表した。
紫色に輝くリボンのようなオーロラ
そのオーロラとは「スティーブ」と呼ばれるもの。そもそも地球の周りは太陽風から生物を守るため、磁場で取り囲まれている。
そして「スティーブ」は高高度にある磁場に、太陽からの荷電粒子が突き刺さり、加速して熱せられたものと考えられているそうだ。
しかも形も普通のオーロラとは異なる。「スティーブ」は幅が狭い弓型の弧を描きながら、上へ伸びているという。
さらに色にも特徴があり、普通のオーロラのように緑や黄色、赤を浮かべるのではなく、紫色に輝くリボンのようになっており、東西にかけて数百キロもしくは数千キロも広がっているそうだ。
また時には柵のように変化する緑色のオーロラを伴うこともあるとか。
専門家が正式に論文を発表する
これを最初に発見したのは、「Alberta Aurora Chasers」とよばれるカナダのアマチュア研究家の団体。そのメンバーによれば、この「スティーブ」という名前は、当初ジョークで子供向けの映画から付けたが、今では「Strong Thermal Emission Velocity Enhancement(強熱放射速度増強)」の略で使っているという。
しかも今ではこの珍しいオーロラは、正式にプロの科学者によって認められており、3月14日に「Science Advances」で発表された論文においても「アマチュアの研究者らによって、超高層大気で起きる光学的な構造の発見につながった」と紹介されているそうだ。
その論文の主筆で、NASAゴダード宇宙飛行センターの宇宙物理学者であるElizabeth MacDonald氏は、この「スティーブ」が他のどのオーロラよりも、多くの人々が見る機会を持てるかもしれない、と述べている。
というのも通常のオーロラが観測できる緯度より、ずっと南にある人口の多いエリアで目撃できる可能性があるからだとか。
これまでどの文献にも載っていない
MacDonald氏が書いた論文は、初めて「スティーブ」の詳細について書かれたものだという。彼女は次のように語っている。
「この狭く、目に見える構造は、明らかにこれまでの楕円形をしたオーロラとは異なっており、これまでその形については全く知られていませんでした。科学の文献においても全く記録されていません。アマチュア研究者が撮影した連続写真も、普通のタイプのオーロラとは全く色が異なっています」
弓型に反って紫色に輝くオーロラの「スティーブ」。アマチュア研究者が発見し、その後正式に専門家によって認められるという面でも、珍しいと言えるかもしれない。(了)
出典元:BBC:Mysterious aurora Steve seen from Scotland(3/19)
出典元:METRO:There’s a new type of aurora called ‘Steve’ that looks like a spurting jet of light(3/15)