ブラジルの警察官が拘束した男性を橋から投げ落とす、ショッキングな動画が拡散
ブラジルで、警察官が拘束した男性を橋から投げ落とし、その瞬間をとらえたショッキングな動画が、多くの人々の怒りを引き起こしているという。
貧困地区にある高速道路上で撮影
その事件が起きたのは、ブラジル最大の都市、サンパウロ州の貧困地区にある高速道路とされている。
撮影された映像には、警察官がバイクの配達ドライバーの男性を拘束し、高架橋の端へと誘導していく様子が映っていた。
やがて警察官は、躊躇せずに男性の体を持ち上げると、そのまま橋の下へ放り投げたという。その瞬間の動画がこちら。
ブラジル全土で怒りを巻き起こす
当時、他の3人の警察官は何もせずに、その様子を見守っており、男性は3メートルの高さから、濁った下水の混じった浅い小川に、後ろ向きに転落したという。
しかしその後、男性は地元の人々によって救出され、病院に搬送された結果、何とか生き延びたそうだ。
結局、12月5日の朝までに、男性を放り投げた警官は逮捕され、これに関わった他の12人も警察官も停職処分になったという。
この動画は、通行人が遠くから撮影したもので、その後拡散し、ブラジル全土で怒りを巻き起こしたと言われている。
「死者数は業績の尺度」
実は、極右のボルソナロ元大統領の内閣で、最も影響力のあったメンバーの1人であるタルシシオ・デ・フレイタス氏が、2022年に州知事に就任してから、サンパウロ州警察はさらに暴力的になったという。
またサンパウロ州公安庁のギリェルメ・デリテ長官はかつて、警察官が5年間で3人未満しか(犯人を)殺していないのは「恥ずべきこと」だとし、死者数は業績(生産性)の尺度であると述べたそうだ。
そのためサンパウロ警察の警官は、「殺人を許可されている」と感じているだけでなく、そうせざるを得ないとも感じているという。
現在、フレイタス知事は、デリテ長官を解任するよう圧力を受けているが、「強盗率の低下が、良い仕事をしていることを証明している」と主張し、長官を擁護している。
実は、デリテ長官はボルソナロ氏の支持者の間で非常に人気があるため、フレイタス知事は2026年の大統領選出馬を見据え、支持基盤を失いたくないと考えているようだ。(了)
出典元:The Guardian:Video of man being thrown off bridge in São Paulo shines light on police impunity(12/5)