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多くのドライバーが病院へ押しかけ、医療費を払えない子供の遺体を引き取る

多くのドライバーが病院へ押しかけ、医療費を払えない子供の遺体を引き取る
flickr_ePi.Longo

インドネシアの病院に、多くのバイク・タクシーのドライバーが押し寄せ、亡くなった子供の遺体を引き取ったとして、注目を集めている。

 

医療費を払うまでは遺体を引き渡さない

 

亡くなった子供とは、スマトラ島中部にある西スマトラ州・パダンで暮らしていたAlif Putr君だ。

 

生後6カ月のAlif君は病気にかかり、「M Djamil病院」で手術を受けるも、残念ながら11月19日に亡くなった。

 

イスラム教ではお葬式をなるべく早く行うことが習慣とされているが、Alif君の両親は2500万ルピア(約20万円)の医療費が払えなかったという。

 

このため病院は、両親が医療費を払うまではAlif君の遺体を外へ運ぶことはできないと主張。その結果、亡骸は長い間、病院の遺体安置所に置かれ続けたそうだ。

 

ドライバーらが押し寄せ遺体を運ぶ

 

この事実を知った多くのバイク・タクシーのドライバーが、人道的見地から行動を起こすことを決断。病院に押しかけ、小さなAlif君の亡骸を抱えて、病院を後にしたという。

 

当時、警察も病院へ駆けつけ、無理やり遺体を運ぼうとしたドライバーらを制止しようとしたが、あまりにもドライバーの数が多かったため、諦めざるを得なかったそうだ。

 

この時の様子は動画でも撮影され、メディアでも報じられたため、インドネシアでは医療費を払う余裕のない両親の処遇について、議論が起きている。

 

過去にも同様のケースが多くあった

 

実は医療費を払えないために、新生児が病院内に留め置かれるというケースは、過去にも多くあったと言われている。

 

ジョコ・ウィドド大統領は国民皆保険の制度を導入したが、この計画は資金面の問題に付きまとわれ、多くの貧しい家庭が登録することもできなかったという。

 

しかしAlif君の母親であるDewi Suryaさんは、子供が病気にかかった時に、この保険に署名する手続きに入っていたそうだ。Dewiさんは次のように語っている。

 

「病院側は私たちに医療費を払ってもらいたがっていました。管理者側の手続きは長引きました。だからドライバーたちは怒ったのです。そしてAlifを力で連れ出したのです。Alifは余りにも長く病院の遺体安置所に留め置かれたのです」

 

病院側は謝罪するもドライバーを非難

 

その後、病院側は謝罪し、このような事態は今後2度と起こさないと約束。未払いの医療費については、医局によって賄われたとして、今回の事態が誤解から生じたと釈明した。

 

しかし同時に、ドライバーらが手続きを踏まず、無理やり連れ出したことを非難。さらに子供が伝染病にかかっていたとしたら、誰が責任をとるのかと訴えた。

 

これに対し、ドライバー側の代表も謝罪。手続きのことは知らず、病院の名誉を回復させるつもりだとした上で、今回の行動を起こしたのは余りにも留め置かれていた時間が長すぎたからだと、あらためて説明した。(了)

 

 

出展元:BBC:Motorcycle taxi drivers storm Indonesia hospital to get baby’s body(11/22)

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