絶滅したと考えられていたナナフシ、ゲノム解析で生存していることが判明
絶滅したと思われていたナナフシ(昆虫)が、現在も生存していることが研究によって明らかとなった。
別の土地で発見された種と同じか疑問
そのナナフシとは「ロードハウナナフシ」。オーストラリアのロード・ハウ島に生息していたもので、難破した船から上陸したクマネズミの影響で、1918年には絶滅したと考えられてきたという。
その後、1960年代にロック・クライマーが火山性の岩柱であるボールズ・ピラミッドで、似たようなナナフシの死骸を発見。さらに2000年代初めには、発見された場所の近くで、数十匹の生存が確認されてきたそうだ。
しかしそのナナフシは、ロード・ハウ島で絶滅したと思われていた種と外見が異なっていたため、同じ種かどうか疑問の声が上がっていたとされている。
DNAの違いは1%以下だと判明
そこで今回、沖縄科学技術大学院大学の研究者らが、両方の島にいたナナフシのミトコンドリアゲノム解析を実施。
2匹のナナフシのゲノムを比較したところ、わずかDNAの違いは1%以下にとどまることが判明し、2つとも同じ種であることが確認されたという。
この調査を率いたアレクサンダー・ミケェエヴ准教授は報告において、次のように語っている。
「今回のケースでは、私たちが永遠にこの種を失ってはいなかったという点で、とても幸運でした。しかし本来ならそうあるべきはずのものです。もう1つのチャンスを与えられたと言えるでしょう。これは頻繁に起こることではありません」
自然保護に対する重要なメッセージ
この発見に続き、ニュージーランド政府はクマネズミを根絶し、このナナフシを再びロード・ハウ島へ根付かせるためのプランを支援し始めたそうだ。
また研究者らは、今回の発見が自然保護に対して、より重要なメッセージになることを願っているという。
ミケェエヴ准教授は報告の中で、次のように語っている。
「このナナフシの話は、いかに島の生態系が壊れやすいかを物語っています。侵略的外来種のような人間が作り出した変化に、彼らがいかに脆弱であるかを表しています。たった一隻の難破船によって、島の動物相を根本的に大きく変えてしまったのです。この虫は私たちに特別な再生のチャンスを与えてくれたのです」(了)
出典元:MailOnline:Scientists find a Lord Howe Island stick insect that is as big as a hand 100 YEARS after the species was thought to have gone extinct(10/5)