NASAの火星ローバーが発見した岩に、古代の微生物の痕跡か
火星で調査を進めるNASAの探査ローバーが、数十億年前に微生物が生息していた可能性を示唆する岩を発見した。
初めて岩から有機物を検出
その岩は矢じりの形をしており、「Cheyava Falls」と名付けられ、7月21日にNASAの探査ローバー「パーサヴィアランス」によって発見されたという。
岩の大きさは、90cm×60cmほどで、火星を流れていた古代の谷、ネレトヴァ渓谷(Neretva Vallis)の北端で見つかったとされている。
そして岩を分析したところ、有機物の痕跡や、地球上の化石化した微生物に類似した斑点、またかつて岩の周りに水が流れていたことが確認されたそうだ。
このミッションに携わる、カリフォルニア工科大学のケン・ファーリー氏は、次のように語っている。
「私たちは、初めて説得力のある有機物質を検出し、微生物がエネルギー源として利用する際にできる、化学反応を示す独特の色彩豊かな斑点や、そして生命に不可欠な水がかつて岩の周りを通過していたという明確な証拠を得ました」
Was Mars home to microscopic life in the distant past?
An intriguing rock spotted by @NASAPersevere has qualities that fit the definition of a possible indicator of ancient life. But what did we find, and how will we know for sure? https://t.co/vMJScXhqYy pic.twitter.com/KZUIHWwxDY
— NASA Mars (@NASAMars) July 25, 2024
複数の白っぽい斑点を確認
その岩には、リン酸カルシウムの白い脈が走り、その間には赤みがかった物質の帯があるという。
この帯は、鉄酸化物化合物の1つである「ヘマタイト」と考えられ、その帯を詳しく調べると、ヒョウ斑のような特徴が数十個あることが分かったそうだ。その斑点は白っぽく、それぞれが鉄とリン酸を含む黒い輪で囲まれていたという。
これらの斑点は科学者に驚きを与えており、というのも地球上では同様の特徴が、化石化した微生物の記録にもみられるからだ。
ただし現時点の分析では、それらが実際の化石化した微生物のようには見えないという。
実は有機化合物のような炭素ベースの分子は、生命の構成要素とみなされるが、非生物学的プロセスによって生成されることもあるそうだ。
このため今回の岩の特徴も、非生物学的プロセスにより生み出された可能性があるとし、科学者らは徹底的な調査のために、このサンプルを手に入れたいと望んでいる。(了)
出典元:The Guardian:Nasa rover discovery hints at ancient microbial life on Mars(7/26)