インドネシアで、「ホビット」と呼ばれる小型人類の腕の骨を発見
身長が1mしかない人類の祖先の骨が、インドネシアのフローレス島で新たに発見された。
70万年前の成人の上腕骨
その骨は上腕骨で、年代は今から70万年前のものと推定されており、「ホモ・フロレシエンシス」の初期の成人のものと考えられている。
「ホモ・フロレシエンシス」は通称「ホビット」とも呼ばれる背の低い人類の祖先とされ、その化石は約20年前にすでに発見されてきた。
その化石は約6万年前のものとされているが、それが見つかった場所から75kmも離れた場所で今回、別の「ホモ・フロレシエンシス」の骨が発見された。
従来考えていたよりも、さらに小さい
この上腕骨は、以前発見された「ホビット」の骨格と解剖学的に類似しており、研究チームはこの骨の持ち主が、身長1mだったと推定した。
これは以前、発見された6万年前の「ホモ・フロレシエンシス」よりも6cmも身長が低く、このことから初期の「ホビット」がさらに体が小さかったことが、明らかにされた。
研究論文の共著者で、グリフィス大学オーストラリア人類進化研究センターのアダム・ブルム教授は、次のように述べている。
「この非常に珍しい標本は、ホモ・フロレシエンシスの祖先の体格が極めて小さかったという、私たちの仮説を裏付けています。しかし、この上腕骨の小ささから、ホビットの初期の祖先は、私たちがこれまで考えていたよりも、さらに小さかったことが明らかになりました」
Additional fossils of a hobbit on Flores, including a partial humerus found at Mata Menge. Compared here to the humerus of LB1 on the right. https://t.co/SHjwpDvgTy 📸Yousuke Kaifu pic.twitter.com/d6MFSSVFiK
— Paige Madison (@FossilHistory) August 6, 2024
過去に、さまざまな説が唱えられる
実は、小型人類の進化的起源に関しては、今までも激しい論争が繰り広げられてきた。実際に「ホモ・フロレシエンシス」が独自の種なのか、それとも先天性の発育阻害疾患に悩まされた一族なのか、またはもともと原始的な類人猿のような小型の種と関連していたのではないか、など疑問視されてきたという。
しかも現時点で、どのように「ホモ・フロレシエンシス」が島に漂着したのか、も分かっていない。
しかし最近、「ホモ・フロレシエンシス」の歯の化石が見つかり、それが「ホモ・エレクトス(ジャワ原人)」の歯に似ていたが、遥かに小さかったことが判明。
このことから研究者らは、「ホビット」が「ホモ・エレクトス」の子孫であり、その後、フローレス島に漂着したという仮説を立てている。
そして今回の新しい骨の発見により、「ホモ・フロレシエンシス」が島に取り残されたことによる独特の進化圧力、つまり「島嶼効果」に応じて、早期に体のサイズが大幅に縮小したことが示唆されたという。(了)
出典元:The Guardian:‘Hobbit’ bone from tiny species of ancient humans found on Indonesian island(8/6)