南極にあるピラミッドのような山、宇宙人に関する陰謀論を引き起こす
南極大陸にピラミッドのような山が存在し、以前陰謀論を引き起こしていたのをご存じだろうか?
2016年にネットで話題となる
その山の正式な名称はまだなく、高さは1265メートルしかない。場所は、南極半島の付け根にあるエルズワース山脈南部に位置しており、4つの急斜面があることから、「ピラミッド」に似ているとして、2016年にネットで話題になったという。
当時、この形状を説明するためにさまざまな陰謀説が浮上。忘れられた文明や、宇宙からのエイリアンの関与などが、唱えられたそうだ。
しかし科学者によれば、この「ピラミッド」のような形状は、ゆっくりとした侵食の過程で形成されたという。
凍結融解浸食により形作られた可能性
2007年に発表されたアメリカ地質調査所(USGS)の研究論文によると、エルズワース山脈は、1935年にアメリカ人の飛行士、リンカーン・エルズワース氏が飛行中に初めて発見したという。
またこの地域は、カンブリア紀(5億4100万年前から4億8540万年前)の三葉虫やその他の生物の化石があることでも知られている。
そして、この山の斜面は数億年にわたる浸食によって削られ、「ピラミッド」のような形になった可能性が高いと考えられている。
マサチューセッツ州にあるダドリーのニコルズ大学の環境科学教授、マウリ・ペルト氏は以前、この山の岩が、凍結融解浸食を受けた可能性があると指摘。
つまり水が凍結して、岩の亀裂の中で膨張し、その結果生じる圧力によって隙間が大きくなり、最終的に大きな岩の塊が山から崩れ落ちたという。
「ピラミッド」型の山の3つの側面は、同じ速度で浸食されたようだが、4つ目の側面である東側の尾根は、独立して形成された可能性があるそうだ。
また自然にできるピラミッド型の山は他にも存在し、スイス・アルプスにある山、マッターホルンなども、凍結融解の浸食により形作られた可能性が高いと考えられている。(了)
出典元:Livescience:Antarctica ‘pyramid’: The strangely symmetrical mountain that sparked a major alien conspiracy theory(1/10)