亡くなったドナーから移植された子宮から、赤ちゃんが誕生

英国にて、亡くなったドナーから移植された子宮を持つ母親から、初めて赤ちゃんが誕生した。亡くなったドナーからの子宮移植による出産としては、英国では初めて、ヨーロッパでも3例目の報告となる。
先天性疾患の女性の新しい選択肢に
今回、母親となったのはグレース・ベルさん。彼女は10代のころに先天性疾患であるMRKH症候群により、「妊娠を継続できない」と告げられていた。MRKH症候群は、子宮が未発達または欠損して生まれる稀な疾患だ。
卵巣とホルモン分泌は正常であり、従来は自分の卵子を使い、代理母出産しか選択肢がなかったが、現在は新しい選択肢として子宮移植という方法がある。
子宮移植とは
子宮移植とは、ドナーから提供された子宮を移植し、妊娠・出産を可能にする医療技術だ。子宮移植の3分の2以上は母・姉妹・友人などの生体ドナーによるもので、3分の1が亡くなったドナーからの提供だ。
移植を受けた後、拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤の服用が必要となる。自然妊娠はできないため体外受精(IVF)で受精卵を移植し、妊娠後にも免疫抑制剤の服用が必要だが、胎児は通常の妊娠と同様に成長する。子宮移植は長期的なものではなく、一時的な移植であり、帝王切開で出産した後で子宮を摘出するのが標準だ。
日本では、子宮移植の実施例はまだない。
ベルさんは 2024 年に子宮移植を受けた数カ月後から不妊治療を開始し、2025年12月に息子のヒューゴくんが体重3.09kgで誕生した。彼女はヒューゴの誕生を「奇跡」と表現し、「こんなことが可能になるなんて、これまで一度も思ったことがありませんでした。今の私は人生で一番幸せです」とコメントしている。
4人の命を救ったドナー
今回、ベルさんに子宮を提供した女性からは5つの臓器が提供され、4人の命が救われた。
ドナーの両親は「娘を失ったことは、言葉にできないほど私たちの世界を打ち砕きました」としたうえで、「臓器提供を通じて、娘は他の家族に“時間”と“希望”と“癒し”、そして今は“命”というかけがえのない贈り物を与えました。親として、彼女が残した遺産――思いやり、勇気、愛――を誇りに思います」とコメントしている。(了)
出典元:The Guardian「Baby boy born to UK mother after womb transplant from dead donor」(2/24)
出典元:Reproductive BioMedicine Online「The reproductive potential of patients with Mayer–Rokitansky–Küster–Hauser syndrome」

























