ポビドンヨードが新型コロナ感染対策に有効か、軽症者4日目の陽性率が劇的に低下
大阪府の吉村知事と大阪市の松井一郎市長は8月4日、大阪はびきの医療センターとともに記者会見を開き、イソジンなどポビドンヨードが含まれたうがい薬が新型コロナウイルスの感染対策に効果が認められるという研究結果を発表した。
コロナ軽症者にうがいを実施したところ陽性率の低下が確認されたという。
1日に4回、うがいを行ってもらう
記者会見の冒頭、吉村知事はパネルを示しながら、府の宿泊療養施設にいる新型コロナの軽症者41名を対象に、ポビドンヨードによるうがいを実施したと説明。
入所中の軽症者に対し、起床時、昼食前、夕食前、就寝前など1日に4回、ポビドンヨードによるうがいを実施してもらい、毎日唾液検体を採取して、PCR検査を行ったという。
その結果、ポビドンヨードによるうがいで宿泊療養者の唾液中のウイルス陽性率が低下したことが示されたそうだ。
4日目の陽性率は9.5%まで低下
さらに吉村知事はパネルに表された図を示し、うがいをしない患者と、ポビドンヨードによるうがいを行った患者の陽性率を説明。(訂正:記者会見では「通常の水うがいをした患者」と比較したと述べていた)
うがいをしない場合の陽性率が1日目(68.8%)、2日目(75%)、3日目(56.3%)、4日目(40%)と推移していったという。
一方、ポビドンヨードによるうがいを行った場合の陽性率は、1日目(56%)、2日目(48%)、3日目(36%)、4日目(9.5%)まで劇的に下がったそうだ。
さらに全体の陽性者(検体)の割合でも、ポビドンヨードによるうがいを行った場合、20%の人が陽性だったが、80%の人は陰性になったそうだ。検査は毎朝、決まった時間に行われ、うがいを行う前に実施されたとしている。
ポビドンヨードの抗ウイルス効果は実証済み
そもそもポビドンヨード(PVP-I)は世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつで、主に昆布やワカメなどに含まれているミネラルの一種である「ヨード」と、毒性を下げ水によく溶けやすくする為 に「ポリビニルピロリドン」という成分から作られているという。
またデューク・シンガポール国立大学(NUS)メディカルスクー ルは2020年7月9日、試験管での実験の結果、ポビドンヨード(PVP-I)を有効成分とする製品が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して99.99%の抗ウイルス効果があると発表している。
舌の周りで細胞が増殖する新型コロナ
大阪はびきの医療センター・次世代創薬創生センター長である松山晃文先生の説明によれば、新型コロナは舌の周りで細胞が増殖する、かなり特徴的なウイルスだという。
無論、新型コロナは鼻とか喉の奥でも増えるため、このうがいだけで患者を治すわけではない。また鼻や喉に残っていたウイルスが、唾液に降りてきて、その後再び陽性になる患者もいたそうだ。
ただし松山先生は、一日4回うがいをすることで、口の中のウイルスが減り、そのことによって人に感染しにくくなると指摘。さらに口の中でウイルスの増殖を抑えることで、肺炎などの重症化になることも防げるのではないか、と述べている。
ちなみに朝起きた時に一番ウイルスが多いと思われ、6時間のサイクルで再び増えてくるそうだ。
また松山先生は、うがいの仕方についても説明。最初はうがい液を口に含み、下を向いて「ぷくぷくうがい」を行い舌の周りにポビドンヨードを広げる。2回目は喉の奥を殺菌するよう顔をあげて「ガラガラうがい」を行う。そして3回目は通常のうがいを行う。この方法を被験者の方にお願いしたという。
もっとも松山先生も本当にウイルスが減少していくかは、もう少し被験者の数を増やして、研究を進めていく必要があると述べている。
大阪府民へのお願い
今回の研究結果を踏まえ、吉村知事は今後宿泊療養施設にいる患者さん全員に、このうがいを行っていただくと明言。
「ポビドンヨードによるうがいを行っていただき、大阪はびきの医療センターによる重症化予防効果の検証研究に協力していただく」と述べている。
また府民に対するお願いとして、8月20日までポビドンヨードによるうがいを励行してもらいたいとし、特に発熱などの症状のある人、接待を伴う飲食店の従業員、医療従事者などにはお願いしたいと述べた。(了)