隣国に自分たちの領土「山頂」をプレゼントしたい!ノルウェー市民の取り組みが話題に
北欧のある国で、自らの領土を隣国へプレゼントしようという取り組みが行われているのをご存じだろうか。
●山の頂上をプレゼントする計画
その北欧の国とはノルウェー。英紙INDEPENDENTによればノルウェーの市民は、隣国のフィンランドが今年12月にロシアからの独立100周年を迎えるにあたり、領土であるハルティ山の頂上をプレゼントする計画を立てているという。
そしてもしこれが実現すればノルウェーの国境が31m後退することになるが、山の頂上はフィンランドで最も標高の高い地点となるそうだ。
●最も高い場所が山の中腹だった
このプレゼントの提案を行ったのは、ノルウェー人で元地球物理学者のBjørn Geirr Harsson氏とされている。
彼によれば1972年、フィンランドで最も標高の高い地点を調査していたところ、ハルティ山の中腹であることが分かったが、山の頂上はノルウェー領になっていたという。
しかしこれではフィンランドの人々が、ハルティ山を自国の最高峰だと胸を張って言うのは難しい。
そこでGeirr Harsson氏はノルウェー政府に手紙を書き送り、人々がフィンランドに贈るプレゼントを「山頂」にすべきだと提案したそうだ。
●友好を示す歴史的な意思表示
この提案は国民から支持を得て、キャンペーンのフェイスブックも1万7000の「Like」を獲得。多くの市民は、世界的な緊張が増す中で、このギフトが国際的な友好を示す歴史的な意思表示になると信じているという。
しかしノルウェーのErna Solberg首相はこのアイディアを歓迎しつつも、憲法に「ノルウェーの国土は分割も譲渡もできない」と明記されているため、違憲になると主張。その結果、昨年の10月にはこの案が否決されてしまう。
これに対抗するため、Geirr Harsson氏らは「Battle for Birthday Mountain」というドキュメンタリーを制作。その番組によって、政府も無視できないほどの国民の支持が生まれることに希望を託しているそうだ。
Geirr Harsson氏は番組の中で次のように語っている。
「世界中で領土を広げるために争ったり、戦争をしたりする国は多く見られます。しかしこれはノルウェーからフィンランドの人々への、心からの贈り物です。私たちは決して見返りを求めません。私たちはただ彼らが100周年を迎えるにあたって、本当に素晴らしいものを贈りたいだけなのです」
また番組のディレクターであるDavid Freid氏も次のように語っている。
「ウクライナやロシア、中国の南シナ海、トランプ氏が提案したメキシコとの国境の壁など、私たちは国家間の国境で勃発する騒動を目にしてきましたが、このBirthday Mountainの背後にある考え方は、賞賛に値する貴重な国家間の意思表示の現れなのです」
出展元:INDEPENDENT:Norway wants to give Finland a mountain for its birthday in ‘unprecedented show of kindness between countries’(1/24)
出展元:BBC:Norway will not give Halti Mount summit to Finland(10/14)