英・規制当局、グーグルがネット広告での支配的な地位を乱用と認定
イギリスの反トラスト(独占禁止)規制当局は、グーグルがデジタル広告における支配的な地位を乱用したと、暫定的に認定した。
パブリッシャーや広告主に損害
イギリスの競争・市場庁(Competition and Markets Authority:CMA)は9月6日、グーグルが自社のアド・エクスチェンジ(各媒体やアドネットワークが持つ広告掲載枠を交換できる仕組み)の優位性を利用して、広告技術で反競争的慣行を利用していると指摘。これにより、イギリスの数千のパブリッシャーや広告主に損害を与えている可能性があるとの見方を示した。
CMAの法執行担当暫定事務局長、Juliette Enser氏は、次のように述べている。
「人々がウェブサイトで見る広告に関して、グーグルが市場支配力を利用して、競争を妨害していることが暫定的に判明しました。多くの企業は、ネット広告を利用して収益を上げることで、デジタル・コンテンツを無料または安価に保つことができます。これらのWebサイトやアプリの広告は、イギリス中の何百万人もの人々に届き、商品やサービスの売買を支援しています」
米司法省とEU委員会も調査
CMAは、グーグルが少なくとも2015年から、マッチングによる広告オークションにおいて自社のアド・エクスチェンジを優遇するために、広告の買い手側と、売り手側の両方に対し、優位性を乱用していたことが暫定的に判明したとの見方を示した。
CMAは、違反の重大さに応じて企業に、総売上高の最大10%の罰金を課すことができ、乱用を終わらせるための、法的拘束力のある指示を出すこともできるという。
ただ、どのような措置を講じるべきかを決定する前に、グーグルからの回答が今後検討される予定だとしている。
今回の認定について、グーグル側はCMAの見解に同意しておらず、それに応じて対応すると述べるにとどまった。
グーグルのグローバル広告担当副社長ダン・テイラー氏は、「この訴えの核心は、依然としてアドテク分野の誤った解釈にある」と指摘している。
ただアメリカの司法省とEU委員会も、アドテク分野でのグーグルの活動を調査しており、EUの規制当局は2023年6月、この懸念に対処するため、グーグルがアドテク事業の一部を売却する必要があるかもしれないと述べたという。(了)
出典元:REUTERS:Google abusing power over website ads, UK regulator says(9/6)