シリアの反政府勢力が電光石火の進撃、第3の都市・ホムス北部の町を制圧
シリアの反政府勢力が素早い進撃を続け、要衝のハマに続き、すでに第3の都市・ホムス北部の複数の町をコントロール下に置いた。
ホムスの次は首都のダマスカス
「ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)」が率いる反政府勢力は5日に、中部のハマ市を制圧した後、高速道路を南下。シリア第3の都市、ホムスの中心部から北に約8km離れた町、Al-Dar al-Kaberaに到着したという。
また未確認の情報だが、反政府勢力はホムス市に隣接する最後の村もコントロール下に置き、中心部での戦闘が始まろうとしているそうだ。
反政府勢力がホムスを支配下に置けば、次はシリアの首都・ダマスカスに向かうと考えられている。
ロシア国民にシリアを離れるよう要請
このためシリアのアサド政権を支援していたロシア政府は、ダマスカスにあるロシア大使館を通じて、シリアにいるロシア国民に国外へ避難するよう呼びかけたという。
またヨルダン政府も自国民に対し、できるだけ早くシリアを離れるよう指示したそうだ。
さらに未確認の情報だが、エジプト政府高官やヨルダン政府高官も、シリアのアサド大統領に対し、国を離れるよう促しているという。(一方、ヨルダンの政府高官は、この報道を否定している)
シリア全土で政府軍が撤退
アサド大統領に忠誠を誓う勢力はシリア全土でも支配力を失いつつあり、シリア東部デリゾール(Deir ez-Zor)県の中心部からも、シリア政府軍とイラン支援の民兵が撤退。
アメリカが支援するクルド人主体の組織「シリア民主軍(SDF)」と地元のアラブ人勢力の連合軍が、デリゾール市を制圧したという。
首都・ダマスカス南部の2つの県でも騒乱が広がり、ダルアー(Daraa)県では地元の反政府勢力が検問所を制圧し、武装車両を奪取。隣のスワイダ(Suwayda)県でも、シリア政府軍が北部の中心部から撤退した後、人々が戦車の上に登る様子が地元メディアで報じられた。
スワイダ市で撮影されたとみられる動画には、人々が地元の警察署を占拠し、アサド大統領の顔が描かれたポスターを叩く様子も映っていたという。
イランや「ヒズボラ」は政府軍を支援
ホムスは10年前の内戦初期にも、反政府勢力が、シリア政府軍と同盟を組む民兵や、レバノンの「ヒズボラ」と何年にもわたる市街戦を繰り広げた場所となる。
今回の反政府勢力の進撃を受け、「ヒズボラ」はホムス占領を阻止するために、少数の「軍事顧問部隊」を派遣したという。
またイラン政府も、シリア政府に対し、必要な軍事装備やミサイル、ドローンを送ると述べているそうだ。
一方、トルコのエルドアン大統領は、シリアの反政府勢力への支援を表明。「イドリブ、ハマ、ホムス、そしておそらくその後はダマスカスだ。シリアでのこの進撃が何の問題もなく続くことを願っている」と述べたという。(了)
出典元:The Guardian:Syrian insurgents close in on Homs as advance towards Damascus continues(12/6)