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イスラエル大使が京都のゲストハウスに圧力、戦争犯罪を否定する宣誓書を非難

イスラエル大使が京都のゲストハウスに圧力、戦争犯罪を否定する宣誓書を非難
X_Thoton Akimoto

京都府にあるゲストハウスが、駐日イスラエル大使の苦情を受け、日本の自治体からも圧力を受けている。

 

戦争犯罪に関与していないとする誓約書

 

そのゲストハウスとは、京都市東山区にある「WIND VILLA」だ。

 

オーナーの岸氏によれば、約6カ月前から、宿泊客に対し「人道法および国際法に違反するいかなる戦争犯罪にも関与していない」とする誓約書への署名を依頼し始めたという。

 

具体的には「民間人(女性や子供など)への攻撃」や「拷問や非人道的な扱い」「性暴力や強制移住、略奪」などをしていないことを明らかにし、今後も「人道法および国際法に違反するいかなる戦争犯罪にも関与しない」ことを誓約する内容となっている。

 

そして今年の4月中旬、イスラエル人の観光客がチェックイン時に、誓約書の署名を求められ、実際に署名をし、宿泊したそうだ。

 

イスラエル大使が差別だと非難

 

これを受け、駐日イスラエル大使のギラッド・コーヘン氏は、「WIND VILLA」が誓約書に署名を求めるのは、差別行為だと非難。SNS「X」への投稿でも、次のように述べた。

 

「この要求は、イスラエル国民に対する露骨な差別行為であり、彼らを戦争犯罪者と同一視しようとする容認できない試みだ。京都市当局には、この件に迅速に対応するよう求める」

 

そしてコーヘン大使とイスラエル大使館からの苦情を受け、その後、京都市観光局は調査のため「WIND VILLA」を数回訪問。聞き取りの結果、京都市は「客がその場で差別されたという不快感を抱く。不適切だ」と指摘したという。

 

方針を変更する予定はなし

 

京都市は「WIND VILLA」側に対し、誓約書の方針を変更させるよう求めているが、同時に誓約書に署名しなくても宿泊拒否をしておらず、感染症などの理由を除き、宿泊拒否を禁じる「旅館業法には違反していない」との認識を示した。

 

「WIND VILLA」のオーナーである岸氏も、「アルジャジーラ」のインタビューで、京都市による調査とイスラエル大使からの非難を受けても、誓約書の方針を変更する予定はないと述べている。

 

ただ、誓約書の文言を修正し、この施設での宿泊資格に影響を与えないよう明記したという。

 

また岸氏は、コーエン大使宛ての公開書簡で、誓約には「当ゲストハウスが戦争犯罪に関与した可能性があると特定した、全ての宿泊客に署名を求める必要がある」と明言。対象には、ブルンジ、中央アフリカ共和国、エチオピア、マリ、ミャンマー、パレスチナ、ロシア、シリア、スーダン出身者も含まれると説明した。

 

「隠すことは何もないので、署名した」

 

実際に署名を求められたイスラエル人観光客は、京都旅行後にイスラエルの報道機関に、この出来事を語ったという。

 

海軍予備役の衛生兵として勤務していたその観光客は、「結局、隠すことは何もないので、署名することにした」とし、次のように語ったそうだ。

 

「その(誓約書の)声明は真実です。私は戦争犯罪を犯していませんでしたし、イスラエル兵も戦争犯罪を犯していません。問題を起こしたくなかったし、この書類には何の意味もありませんから署名したのです」

 

このイスラエル人の宿泊客は、旅行サイト「Expedia.com」で宿泊予約をしたにもかかわらず、競合サイトの「Booking.com」は4月の出来事以降、「WIND VILLA」のアカウントを停止しているという。

 

岸氏は「アルジャジーラ」に対し、次のように語っている。

 

「ロシアによるウクライナ侵攻と、イスラエルによるガザ攻撃を非常に懸念していました。私たちと宿泊客の安全のために、そして戦争犯罪と国際法違反への反対を表明するために、何らかの対策を講じたかったのです」

 

岸氏によると、これまで誓約書に署名したのは4人のみで、イスラエル人が3人、ロシア人が1人だという。(了)

 

出典元:Aljazeera:Guest house in Japan under fire for asking Israeli guests about war crimes(5/15)

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