「我々はウクライナ軍に勝てない」親ロシア派の司令官がSNSで「戦闘停止」を要望
親ロシア派の将校が、自らのSNSアカウントにおいて、現在のウクライナでの戦闘に悲観的な見方を示した。
「ボストーク大隊」を率いる司令官
その将校とは、ドネツク州の親ロシア派武装勢力の指導者で、「ボストーク大隊(Vostok Battalion)」を率いるアレクサンドル・ホダコフスキー司令官だ。
彼が率いる「ボストーク大隊」は先日、ドネツク州の村、ウロジャイネでウクライナ軍と交戦。しかし壊滅的な敗北を喫し、防衛態勢が維持できなくなったため、撤退したという。
そして8月17日、ホダコフスキー司令官は自らのテレグラム・アカウントを更新。「ウクライナを軍事的に崩壊させることができるのか?現在も近い将来も、ノーだ」と語り、さらに次のように主張したそうだ。
「この戦争における、自分の運命について言い聞かせるなら、私たちはウクライナ人のように、這いつくばって前進し、すべてを破壊されたバフムトのように変えることは、できないということだ。しかも簡単に都市を占領する見通しもたっていない」
その上で、ホダコフスキー司令官は、現在の戦争を「凍結(freeze)」するよう、プーチン大統領に訴えた。
「戦争研究所」の見方とは?
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、この発言について、「ワグネル」のエフゲニー・プリゴジン氏が推し進めたシナリオを、復活させようとするものだと指摘している。
実際プリゴジン氏は4月、ロシアがウクライナでの戦争を凍結し、交渉なしで将来勝利するための条件を整えるべきだと述べたそうだ。
「戦争研究所」によれば、そもそもロシア政権内の一派は、国内の政治的安定と戦争による経済的影響への懸念から、現在の前線(境界)を維持したまま、戦争を凍結することに関心を持っているという。
そして、ホダコフスキー司令官は、その一派に代わって、このような主張を繰り広げているのかもしれないが、彼がロシアの指導部に影響を及ぼせる可能性は低い、との見方を示した。
「戦争研究所」は、このようなことから一時的な「停戦」はウクライナの利益にならず、それはロシアの戦力再建を許し、西側のウクライナ支援の弱体化をロシアが進めていくことを許すことにもなる、との考えを示している。
さらに「戦争研究所」は、ホダコフスキー司令官の発言について「最近のウクライナ軍の前進と、ウロジャイネにおけるロシア軍防衛の劣化を直接体験したことに関連している可能性が高い」と述べている。(了)
出典元:METRO:Top Russian general admits his troops ‘cannot win’ against Ukraine(8/18)