ポンペイの遺跡から、古代の奴隷たちの過酷な実態が明らかに
イタリア南部のポンペイの遺跡で、ある建物が発見されたのだが、それにより古代ローマ時代の奴隷制の過酷な状況が明らかにされた。
パンを作るために働かされた奴隷たち
その建物の一部は先日、ポンペイ遺跡公園の第9地区で、発掘調査中に発見されたという。
建物は豪華なフレスコ画で飾られた住宅部分と、奴隷にされた人々がパンを作るための部屋に分かれており、パン屋の部分は狭く、鉄格子で囲まれた小さな窓があったそうだ。
そして数カ月前に、パンを作る建物から3人の遺体が発見され、また奴隷となった人や、目隠しされた動物の動きを調整するために使用されたマークも、その床から見つかったという。
このことから、パン屋の建物では、奴隷にされた人々が投獄され、パンを生産するために過酷な労働を強いられていたと考えられている。
「奴隷制の最も衝撃的な側面」
パン屋の建物は、外界から遮断されており、唯一の出口が家のメインホールに通じていたという。
ポンペイ考古学公園の園長、ガブリエル・ツシュトリーゲル氏は、次のように語っている。
「これは古代の奴隷制の最も衝撃的な側面であり、そこには信頼関係も解放の約束も欠如し、奴隷らが残忍な暴力にさらされており、その印象は、いくつかの窓が鉄格子で固定されていることで完全に裏付けられています」
そもそも古代ローマ時代の奴隷たちは人口の大部分を占め、彼らの重労働が都市の経済とローマ文明の文化や構造を支えていたという。
2021年にも、ポンペイの郊外で奴隷にされた人々の部屋が発見され、そこからは3つの木製ベッドや室内用便器、木製のタンスなどが見つかっている。(了)
出典元:The Guardian:Archaeologists unearth ‘most shocking example of Roman slavery’ at Pompeii(12/8)