アメリカで最も古い飼い猫か?フロリダ沖の難破船内で亡骸を発見

アメリカのフロリダ州沖で沈没した船の中から、飼い猫と思われる亡骸が見つかった。
1559年に沈んだ船の中で発見
研究者たちは2006年に、「エマニュエル・ポイントII」と呼ばれる沈没船を発見。この船は1559年9月、ペンサコラ湾を襲ったハリケーンにより、沈没したと考えられている。
4月14日に「American Antiquity」誌に掲載された新たな研究によると、この沈没船には成猫と幼猫の飼い猫(ネコ科イエネコ)の亡骸が眠っていたという。
本研究の共著者で、アリゾナ大学の人類学考古学者あるマーティン・ウェルカー氏は、次のように述べている。
「現在の私たちの理解では、すべてのイエネコは中東に祖先を持つと考えられています。つまり、人間によってアメリカ大陸に持ち込まれたに違いありません」
スペイン植民地探検隊の一部
「エマニュエル・ポイントII」は、スペイン王室の指揮下でメキシコから航海していた征服者、Tristán de Luna y Arellano率いるスペイン植民地探検隊の一部だったという。
そしてペンサコラ湾を襲ったハリケーンでは、スペイン人の新しい入植地「Santa María de Ochuse.」の近くに停泊していた11隻の船のうち、数隻が難破したそうだ。
今回発見された猫は、アメリカ合衆国で知られている最も古い飼い猫と考えられている。
さまざまな手法で猫の骨を分析
研究チームは動物考古学的分析(難破船の猫の骨と現代の猫の骨を比較)、同位体分析(さまざまな化学特性を調査)、遺伝子分析(古代のDNAを研究)など、いくつかの手法を使って猫の骨を分析したという。
この研究結果により、骨が飼い猫のものであることが確認され、猫の祖先や成猫の食生活についての知見も得られたそうだ。
発見された猫は、船上でネズミを食べていたわけではなく、船員と近い食生活を送っていたと思われ、船員から成猫に餌が与えられたことが示されたという。
考古学者たちはこれまでにも、現在のハイチにあるタイノ族の先住民の町、エン・バス・サリーヌなど、他の初期のスペイン人入植地で飼い猫の骨を発見している。この町は1492年にコロンブスが上陸した場所だ。
しかしコロンブスは北アメリカ大陸には到達できなかった。むしろ、「フロリダへのスペインの遠征は、飼い猫が現在のアメリカに到達した最初の機会だった」とウェルカー氏は述べている。(了)
出典元:Livescience:Catquistadors: Oldest known domestic cats in the US died off Florida coast in a 1559 Spanish shipwreck(4/29)