トランプ政権がウクライナに「パトリオット」を供与、各国の反応とは?

アメリカのトランプ大統領は、ウクライナに防空システム「パトリオット」を供与すると明らかにした。
「パトリオット」「2次関税」
トランプ大統領は7月14日、NATOのマルク・ルッテ事務総長とホワイトハウスで会談し、ヨーロッパの国々の費用負担で、ウクライナに地対空ミサイルシステム「パトリオット」を供与すると明らかにした。
またトランプ氏は、ドイツをはじめとするNATO加盟国の資金で、数日以内に追加の「パトリオット」システムが、ウクライナに到着すると約束したという。現在、ウクライナの首都・キーウには、「パトリオット」が6基しかないと言われている。
さらにトランプ氏は、ロシアが50日間までに停戦に応じなければ、制裁を科すと表明。ロシアから石油やガスなどを購入した第三国にも、100%の関税を課す「2次関税」を実施すると明らかにした。
ウクライナ側の反応とは?
ウクライナのゼレンスキー大統領は14日の夜、トランプ大統領に感謝の意を表し、ビデオ演説でも「国民の生命を守る支援を惜しまない、トランプ大統領に感謝する」と述べたという。
一部の人々は、2月にゼレンスキー大統領がトランプ大統領と会談し、口論となって以降、ウクライナとアメリカ政府との関係は著しく改善したと認めている。
しかし今回のトランプ氏の決断が、ロシア政府に戦闘停止を迫るのに十分かどうかについては、懐疑的な見方もあるという。
ある元ウクライナ軍の将校は、この支援パッケージがロシア政府への、強力な抑止力として機能する可能性は低いと述べた。
またウクライナの無所属議員であるMariana Bezuhla氏は、トランプ氏の支援を空虚な「ゲーム」だと一蹴。「トランプ氏はプーチン大統領に、ウクライナを征服させるのに、50日間の猶予を与えた」とSNSに投稿した。
ロシア側は支援を軽視
またロシア政府の関係者や戦争支持派の軍事ブロガーも、トランプ氏の脅しを概ね軽視し、予想よりもはるかに軽微なものだったと主張した。
ロシアの有力議員、コンスタンチン・コサチェフ氏は、アメリカ大統領が容易に発言を撤回できる可能性を示唆し、テレグラムに「50日間で多くのことが変わり得る。戦場でも、アメリカとNATOの両方の権力者の考え方でも」と投稿したという。
人気軍事ブロガーのユーリ・ポドリャカ氏も同様にテレグラムにおいて、トランプ氏が「今後50日間で『意見』を何度も変える可能性がある」と投稿している。
ロシア国営メディアは以前、トランプ氏がロシアの首都に到達可能な長距離ミサイルの配備を発表する可能性があると推測しており、それに比べると確かに、今回の支援は軽微だったと言えるかもしれない。(了)
出典元:The Guardian:Kyiv hails US weapons deal as Moscow dismisses Trump’s sanctions threat(7/14)