イースター後に多くのうさぎが捨てられる…米国で動物保護の法整備が進む
イースターというとうさぎと卵のイメージがなんとなく湧くものの、日本ではまだまだ馴染みが薄いイベントかもしれない。
しかしイエス・キリストの復活を祝う日であるイースターは、欧米等のキリスト教国ではクリスマス同様に非常に大切な年間行事だ。
また多産である故に繁栄の象徴であるうさぎは、命を生み出す復活の象徴である卵を運んでくるシンボルとして、イースター前にはお菓子やぬいぐるみなどの関連グッズが溢れかえるほどとなっている。
ところが米国ではこのイースターの日に贈り物などとして生きたうさぎを購入するも、この時期を過ぎるとすぐに捨ててしまうという事例が発生しており、これを防ぐための動きが進みつつある。
ペットの商業販売を禁じる動きが進みつつある米国
カリフォルニア州は、そんな動きが米国で最も進められている州だ。
今年同州では、イースター当日にペットショップ等でうさぎの販売が行われない。
販売が行われないのは今年の1月より施行された法律に基づくもので、この法律では販売業者が商業目的で飼育された犬や猫、そしてうさぎを販売すること自体まで禁じられている。
これは商業目的で動物を繁殖・販売する業者を厳しく取り締まると同時に、動物を飼うことを望む人に対してペットショップでペットを購入する代わりに、保護施設で保護されている動物を引き取ることを奨励する目的で定められたとのこと。
一方、この法律ではペットショップからではなく、ブリーダーの手から直接ペットを購入することは認められているという。(このため、別の問題が発生しているとも言われている)
このような法律が州全体で施行されるのは、カリフォルニア州が米国初となる一方、既にボストンやシカゴ、ソルトレークシティといった複数の都市が条例レベルで同様の規制を設けている。
さらに州レベルにおいてもニューヨーク州やマサチューセッツ州、コネティカット州、ペンシルべニア州においては、カリフォルニア州と同様の法律制定に向けた動きが進みつつあるという。
深刻な問題はイースター時期に購入されたうさぎ達
ペットショップで購入されたペットの放棄と安楽死という問題において、米国で特に深刻となっているのがイースター直前の時期に“衝動買い”されてしまったうさぎ達だ。
「イースター後1カ月から3カ月の間に、昔から動物保護施設ではうさぎの数が急増します」
こう語るのは捨てられたうさぎを引き取ると共に、新たな飼い主の下へと引き渡す活動を行う非営利団体「House Rabbit Society」のAnne Martinさん。
「北カリフォルニアだけで数千もの野良うさぎや、飼い主によって望まれないうさぎが、自治体の保護施設へと届けられています。さらにその大多数は1歳未満のものです」
米国においては犬の保有家庭が6020万世帯、猫の保有家庭が4710万世帯、鳥の保有家庭が790万世帯に上る。
それに対してうさぎの保有家庭は280万世帯である一方、捨てられたり安楽死させられたりするものの数としては、うさぎは3番目に数が多くなっているという。
うさぎの購入者の多くに誤解
このようなことが起きる理由としては、購入者の多くにうさぎはにんじんさえ与えておけば檻の中で大人しくしていてくれる、といった誤解があるためだという。
ニューヨークの高級住宅で複数のうさぎを飼うJacob Levittさん(44)は、うさぎを狭苦しいところに閉じ込め、適切ではない餌を与えるのは“意図的でない動物虐待”であると指摘。自身はうさぎを自宅の中で放し飼い状態にしているという。
一方、うさぎの購入が苦い経験となってしまったのは、Fulvio Romanさん(32)だ。
婚約者が衝動的にうさぎの購入を決めたというRomanさんは、うさぎを飼うことに対して準備不足だったことを認める。
晴れてRomanさんの下へとやって来たうさぎが、エアコンのケーブルをかじってしまい、家主から保証金として1000ドル(約11万円)を支払うことを要求されてしまったのだ。
結果的にRomanさんはうさぎを動物保護施設へと連れて行くことを選択してしまったといい、「うさぎを飼うことが、本当はどのようなことなのか、分かっていませんでした」としている。
イースターの時期に購入されたうさぎの多くが、捨てられているという衝撃的な事実。
自身もうさぎを飼う身として言わせてもらいたいのは、動物を飼うということはどんな種であれ命に責任を持つということ。動物を購入する際には、その命に対して最後まで自分が責任を取れるか考えてほしいものだ。(了)
出典:Reuters:Ban the bunny: California aims to end post-Easter parade of unwanted rabbits(4/18)