雪に覆われたギリシャ、夏用のテントで過ごす難民らが命の危険にさらされている
ヨーロッパが寒気に襲われる中、シリアやイラクから逃れてきた難民たちがこの寒さによって命の危険に晒されており、懸念が広がっている。
●夏用のテントで過ごす難民たち
英紙INDEPENDENTは「このまま凍りつくような天気が続き、十分な住居を確保できなければ、ギリシャに住む難民たちは死ぬ可能性がある」とする人権団体の警告を紹介している。
実際にギリシャでは先週末にかけて気温がマイナス18℃まで下がり、積雪も1m以上。いくつかの島では通信網や道路も寸断されたという。
またレスボス島のMoriaにある大規模な難民キャンプでは、約4500人が非常に狭い場所に密集させられ、いまだに薄い夏用のテントで生活を続けているそうだ。
●燃料を配布し住居も見つける
そのため国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は難民らに、ブランケットや暖をとるための燃料を配布。さらに電気ストーブや断熱材なども備え付けたと言われている。
さらに最もリスクが高いとされる人々のため、ホストファミリーと一緒に暮らすアパートやビルなど2万1000箇所も収容できる場所を設置し、大人だけを受け入れるスペースも700箇所見つけたという。
しかしまだまだ多くの人が雪に覆われたテントの中で過ごしているとして、今後も支援を継続していくそうだ。
●劣悪な環境を改善する必要性も
また一方で難民たちが置かれている劣悪な環境を、早期に改善すべきという声も上がっている。
実際に人権団体はギリシャ政府に対し、子供やお年寄りなど立場の弱い難民らをギリシャの島々から本島へ移動させるなどして、早急に難民キャンプでの超過密な状態を解消するよう求めているそうだ。
UNHCRの報道官Adrian Edwards氏は声明で「私たちは心配しています。登録手続きの遅さ、弱い立場の人々を特定することの遅れ、本島における適切な場所の不足などが、人々の移動を遅くさせている原因となっているのです」と問題点を指摘している。
●移転できるよう各国にも協力を要請
またUNHCRはEUの国々に対し、難民が他の国々へ移転することを通してギリシャの状況を解決するため、継続的かつ緊急に行われる支援の必要性を求めているという。
実際、2年以内に出国できるとした2015年後半の合意に基づく移転計画においても、1月4日時点でギリシャから移動した人、もしくは移動予定の人は7760人しかおらず、6万6400人のうち12%しか達成できていないそうだ
寒さと同時に劣悪な環境に置かれている難民たち。彼らが安心して暮らせる場所が早く見つかることを願う。
出展元:UNHCR:UNHCR: Faster movement of people from Greek islands to mainland essential(1/6)
出展元:INDEPENDENT:Refugees in Greece ‘could freeze to death’ in snow due to inadequate winter preparations, warn aid groups(1/9)