絶滅した「星空の夜」という名のカエル、まだいることを原住民だけは知っていた
「星空の夜の道化者(starry night harlequin)」という名前のヒキガエルがいる。学名はAtelopus aryescue。
黒い体に、真っ白い斑点が星のように散るこのカエルは、科学者たちの間で絶滅したと信じられていた。ところが、実際にはコロンビアの山奥で普通に生息していることが分かり、米自然保護団体「グローバル・ワイルドライフ・コンサーベーション」がその写真を、12月12日に公開した。
原住民はいることを知っていた
今回のカエルが撮影されたのは、コロンビア共和国のシエラ・ネバダ・デ・サンタ・マルタ山地。グローバル・ワイルドライフ・コンサーベーションの生物学者であるLina Valenciaさんによれば、標高の高いこの山地には他の地域に見られない珍しい生き物が多種生息しているとのこと。
1991年以来目撃の報告がなかったこのカエルは、絶滅したと考えられていた。だが、山中の標高1900メートルあたりの場所に何の問題もなく生き続けていることを、原住民であるアルワコ族の人たちは知っていた。「それ(カエル)は、科学者たちにとって失われたものでしたが、原住民にとってそうではなかったのです」とValenciaさんは言う。
カエルの生存が分かったのは、実は数年前のこと。だが、このカエルを聖なるものとするアルワコ族の人々は、それがニュースとなることに反対。グローバル・ワイルドライフ・コンサーベーションや地元の自然保護団体と4年にわたる協議を続け、最終的に今月の写真公開に至った。
水を守るカエル
このヒキガエル「星空の夜の道化者」は、アルワコ族の「水の守護神である」と、写真を撮ったJeferson Villalbaさんは言う。このカエルがいれば、その沢の水質は良く、周辺の自然環境が良好に保たれていると分かるそうだ。
アルワコ族を含めた現地の住民たちは、「シエラ・ネバダ・デ・サンタ・マルタ山地全体に対して、人と接するのと同じ敬意を払っている」ともVillalbaさん言っている。今回の撮影を通して、人間が決して他の生物種の上位にあるのでないことを再認識したそうだ。(了)
出典元:Global Wildlife Conservation:FOUND: Lost Starry Night Harlequin Toad Makes Radiant Return to Science(12/12)
出典元:Mashable:This ‘starry night’ toad was lost to scientists for decades(12/12)