NASAの「パーサヴィアランス」が、火星での日食の撮影に成功
NASAの火星探査ローバーが、日食を撮影することに成功し、その動画が公開されている。
日食の時間は非常に短かった
NASAの火星探査ローバー「パーサヴィアランス」は4月2日(地球時間)、火星の衛星である「フォボス」が太陽の前を横切る瞬間を撮影したという。
その映像は「パーサヴィアランス」に搭載された次世代カメラシステム「マストカム-Z」で撮影され、ちょうどジャガイモのような形をした「フォボス」が影になる様子が、くっきりと映っていたそうだ。
ただし今回の現象は、地球と月が関わる日食に比べて時間的に非常に短く、40秒強で終わったとされている。
過去にも探査ローバーが撮影
火星には衛星が2つあり、「フォボス」は地球の月の約157分の1の大きさ。もう一つの衛星である「ダイモス」はさらに小さいという。
また火星での日食が撮影されたのは、これが初めてではない。
NASAの双子の探査機「スピリット」と「オポチュニティ」も2004年、「フォボス」による日食を初めて早送り映像で撮影することに成功したそうだ。
その後、「キュリオシティ」も、マストカムカメラシステムで日食の様子を動画で撮影することに成功している。
最もズームアップした状態で撮影
ただ「パーサヴィアランス」は今回、最もズームアップした「フォボス」の日食を、過去最高のコマ数で提供できたという。
また「マストカム-Z」には、サングラスのような役割を果たすソーラーフィルターが搭載されており、光量を抑えることができるそうだ。
このため太陽の黒点も観測でき、今回の日食も火星から見たのと全く同じような姿で、捉えることができたという。
消滅する運命の「フォボス」
今回のような観測は、火星の月の軌道や、月の重力がどのように火星表面を引っ張り、最終的に火星の地殻やマントルを形成しているのか、よりよく理解するのに役立つと言われている。
また「フォボス」が火星を一周するとき、その重力は火星内部に小さな潮汐力を及ぼし、惑星の地殻とマントルの岩をわずかに変形させるという。
そして、この力は「フォボス」の軌道をゆっくりと変化させるのだが、その結果「フォボス」は火星に近づきつつあり、数千万年後には火星に衝突する運命にあると言われている。(了)
出典元:NASA:NASA’s Perseverance Rover Captures Video of Solar Eclipse on Mars(4/20)