北朝鮮の核実験で近隣の住民が被曝した可能性が浮上:韓国統一相
9月3日に北朝鮮が大規模な核実験を行ったが、その影響で実験場の近くの住民らが被曝した可能性が指摘されている。
「被曝している可能性は十分にある」
韓国の聯合ニュースによれば、北朝鮮の核実験場がある北東部の咸鏡北道・吉州郡で被曝した疑いが持たれる症状を訴える人が出ているという指摘について、韓国統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官が見解を述べたという。
趙長官は国会外交統一委員会で5日、具体的に説明できる情報は持っていないものの、「被曝している可能性は十分にある」と述べたそうだ。
過去にも核実験の影響を指摘する声が
実は昨年、北朝鮮が核実験を行った際も、実験場の住民らが放射能汚染の危険にさらされ、原因不明の病気に苦しんでいるという報道がされている。
韓国YTNによれば2006年から昨年9月までに、咸鏡北道吉州郡豊渓里の核実験場で5回にわたり核実験が行われたが、韓国内の脱北者団体が吉州郡出身の脱北者10人を対象に調査した結果、病気に苦しむ住民が増えているとの証言が相次いだという。
3回目の核実験が行われた後に韓国に来た40代の脱北者は、「2013年ごろから、いくら食べても痩せていく、頭痛が治らないなどの症状に苦しむ人が増えた」と明らかにしたそうだ。
しかも住民には放射能の危険性が知らされていないことも明らかになったとか。
日本への放射性物質の飛来は?
また2013年に北朝鮮が核実験を行った時には、日本にも偏西風に乗って放射能物質が来るのではないかと心配する声があった。
しかし福島原発で漏洩した放射能物質の量は広島型原爆の186倍で、当時の核実験の規模は原爆の5分の1とされため、日本へ放射性物質が飛来したという報告は国からもされていない。
今回の核実験の規模は広島原爆の約10倍と推定されているが、地下で実験を行ったと考えられている。しかも日本各地には外国で放射性物質の漏洩があった場合に観察できる装置が多数配置されているので、その観測値でも危険性がわかるそうだ。
原子力規制庁はすでに3日夜、北朝鮮の核実験による放射能の影響について、全国308カ所のモニタリングポストで測定した空間線量率で「特別な変化はみられない」と発表している。
3日午後1~5時の観測値と過去2年間の平均値と比較しても有意な差はみられず、午後8時でも異常な値があったとする報告はなかったという。
ただ規制庁は当面の間、月に1度行っていた航空自衛隊による高空の大気中のちりの採取を毎日に変更するなどして、核実験の影響の把握に努めるとしている。(了)
出展元:聯合ニュース:北朝鮮住民 核実験で被爆した可能性=韓国統一相(9/5)
出展元:産経ニュース:放射線量「特別な変化みられず」原子力規制庁(9/3)