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ハチミツから「セシウム137」を検出、過去の核実験で放出:米研究

ハチミツから「セシウム137」を検出、過去の核実験で放出:米研究
flickr_Renee Grayson

アメリカで、収穫されたハチミツから過去の核実験で放出された放射性物質(放射性同位元素)の痕跡が検出された。

 

検出されたのは「セシウム137」

 

その研究を行ったのは、バージニア州にあるWilliam & Mary大学や、メリーランド大学環境科学センターからの研究チームだ。

 

彼らはアメリカ各地で採取された、ハチミツのサンプルを検査。その結果、約半数のハチミツサンプルから検出可能なレベルの「セシウム137」が検出されたことを確認した。

 

この放射性物質は、1950年代から1960年代にかけて行われた核実験によってもたらされたものだと考えられ、サウスカロライナ州をはじめとする南部のハチミツには、ほとんどセシウムが含まれていたという。

 

一方、バージニア州から上の地域ではセシウムの含有量がまちまちだが、メイン州では、逆にセシウムが再び検出され始めたそうだ。

 

ただ検出したセシウムのレベルは、たとえ最高レベルのものであっても、人間が摂取すべき基準値以下であるので、食べても健康には問題がないという。

 

放射性物質は土壌や植物に吸収される

 

核実験の爆発により発生した多くの放射性物質は、数日間で消滅するが、そのうち最も多い核分裂生成物の1つである「セシウム137」は、半減期が30.2年になるそうだ。

 

やがて「セシウム137」は、土壌や植物などに吸収され、花粉を集めるミツバチなど受粉媒介者がそれらの花を訪れると、より濃縮された放射性元素を吸収。特にハチミツの場合、「セシウム137」は土壌から受粉者を介して移るという。

 

このためハチミツは、大気中から降下した汚染物質の指標として役に立ち、汚染の「ホットスポット」を特定するのに有効だと考えられている。

 

研究論文の主筆であり、William & Mary大学地学部の准教授・Jim Kaste氏は、今回の研究が、前世紀半ばに行われた原子爆弾実験の影響が現在も続いていることに光を当てることだとした上で、次のように語っている。

 

「このプロジェクトを始めたときよりも、今のほうがより多くのハチミツを食べています。私の子供にもハチミツを食べさせています。私は、ハチミツを食べるべきではないと言いたいわけではありません。最近のミツバチなどの受粉昆虫の個体数の減少に関係しているかもしれないのです」

 

ミツバチに悪影響を及ぼしている可能性

 

Kaste氏によれば、福島周辺では、数百ベクレルになると食品を市場から排除することになっているが、今回のハチミツの中の最高レベルは約19ベクレルだという。

 

このため人間が摂取しても問題ないが、昆虫の場合は異なる。福島県の研究では、蝶がセシウムを多く含む植物を食べると、突然変異や繁殖率の低下という形で影響が現れることがわかっているそうだ。

 

つまり、このことから残存した放射性物質が、ミツバチにも悪影響を及ぼす可能性があるという。(了)

 

出典元:William & Mary:A radioactive isotope is showing up in honey(2020/1/31)

出典元:Fox8:American honey may contain traces of nuclear fallout: study(4/22)

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