NASAのエンジニアが飛行機の異常にいち早く気づき、事故を未然に防ぐ
NASAに勤務する男性が、搭乗していた飛行機の異常に偶然気づき、事故を未然に防いだとして注目されている。
旅客機が無事に空港へ引き返す
その男性とはRumaasha Maashaさん。彼はNASAのマーシャル宇宙飛行センターに勤めているエンジニアで、今年の1月にアラバマ州北部のHuntsville国際空港から、旅客機に乗り飛び立ったという。
やがて彼は白い物質が機体の翼から流れているのを発見。さらに飛行機の異常にも気づいて、フライトアテンダントに通報し、その後機体は無事にHuntsville国際空港へ引き返すことができたそうだ。
翼の周りにある白い物質は液体だった
Maashaさんはそのストーリーを今週になって明かしたのだが、それによれば離陸してから高度1000フィートほどに達した時、翼に白いものが見えたが、最初は湿気を帯びた空気が渦を巻いていると思ったという。
その後、旅客機は横風を受け、傾いて飛行。にも関わらず、まだその白い物質が翼の周りに見えていたそうだ。
おかしいと思ったMaashaさんは、窓に顔を近づけ、じっくりと観察。すぐに白い物質と見られたものが液体であることに気づく。
「ベンチュリー効果」が起きていたことを理解
しかもMaashaさんはその液体が何かだけでなく、なぜ漏れているのかを理解する。つまり通気弁が故障し、そこから燃料が漏れていたのである。そして彼はそれが何故そうなるのかも、分かっていたという。
実は飛行機の高度が上がり、速度も増すと「ベンチュリー効果」という現象が起き、タンクから燃料を吸い出す力が強まり、漏れる速さも増していくそうだ。
そのことを知っていたMaashaさんは、落ち着き払ってキャビンアテンダントに通報。彼女も異常に気づき、状況がパイロットに報告されると、1分か2分後には飛行機のスピードが落ち、それまで上昇していたのが水平飛行になったという。
それに伴い、燃料の漏れる量もただちに減っていったとされている。そして旅客機は元の空港へ引き返し、乗客全員にケガなどもなかったそうだ。
15歳でコロンビア大学へ入学
Maashaさんは西アフリカのリベリア出身で、大学教授の両親の下で育てられたが、15歳の時にニューヨークにあるコロンビア大学へ入学。そこで機械工学の学士の学位を取得したという。
さらにアトランタにあるジョージア工科大学でも学び、航空宇宙工学の修士の学位を取得。その後航空会社などで働きながら学んだ後に、NASAで働き始めるようになったという。
専門家だからこそ気づけた異常。それにより事故へと繋がらずに済むとは、本当に幸運な出来事だったと言えるかもしれない。(了)
出典元:AL.com:This NASA engineer from Alabama is a good man to see on your flight(4/13)
出典元:NASA:NASA Marshall Engineer Takes Safety to Another Level on Commercial Flight(4/12)