英で最大規模の冤罪事件、富士通のシステムエラーで無実の人を数百人逮捕、再度注目を集める
2000年前後から、富士通のイギリス法人が郵便局に提供してきたIT システムに不具合があり、数百人が不当に起訴される冤罪事件を生み、4人の自殺者を出すこととなった。
システムエラーから冤罪逮捕へ
当時、不具合があったのは、勘定系システム「ホライゾン」だ。このシステムエラーにより、1999年から2015年の間に、民間受託郵便局長(サブポストマスター)の約3500人が横領を疑われ、約700人が不当に起訴される冤罪事件を引き起こした。
この事件により、少なくとも4人が自殺に追い込まれている。また、破産した人や汚名を晴らして補償を受け取る前に亡くなってしまった人もいるそうだ。2009年にサブポストマスターであったアラン・ベイツ氏が、被害者団体「Justice for Subpostmasters Alliance (JFSA)」を立ち上げている。
富士通の英国法人は巨大な利益を計上
富士通のイギリス法人であるFujitsu Services Holdings plc(旧インターナショナル・コンピューターズ・リミテッド)は、内務省や国防省などの政府部門と、ホライゾンのアップデートバージョンを使い続けている郵便局により、2,200 万ポンド(約40億5147万円)の利益を計上。
取締役3名に230万ポンド(約4億2357万円)の報酬が支払われ、そのうちの130万ポンド(約2億3941万円)は1名の幹部が受け取ったことが分かっている。
イギリス国内で批難の声が上がる
現在、イギリス政府は被害者となってしまったサブポストマスターらへ、今年の8月7日までに補償の支払いを終えるように急いでいるが、Fujitsu Services Holdings plcは、金銭的負担を強いられてはいない。
イギリス国内では、賠償金の一部を富士通が負担するべきであり、富士通がこの問題で果たした役割について調査が終わるまで、今後は政府との契約を凍結すべきだとの声が政治家から上がっている。公的調査は2020年に始まっており、年内に結論が出る見込みだ。
冤罪事件は、Fujitsu Services Holdings plcのシステムがエラーを起こしたのが原因だが、実際に冤罪を生んだのはイギリスの司法だとの考えもある。
この事件は、幹部が巨額の支払いを受けたこと、そして今年1月より、この事件を題材としたドラマ「Mr Bates Vs The Post Office」が放映されたことで再注目されている。(了)
Hope people are tuning in to watch this. It’s an important one and everyone needs to see just how shocking and unbelievable it is. It’s gut wrenching and utterly heartbreaking what happened to these innocent people. Please watch and please share. #MrBatesVsThePostOffice pic.twitter.com/JarUuuvdrR
— Amy Nuttall (@amynutts) January 2, 2024
参考:The Gurdian「Post Office IT firm Fujitsu reports £22m UK profits as directors receive payouts」(1/8)
Bloomberg「富士通は賠償負担する必要、郵便局えん罪事件で責任判明なら-英政府」(1/9)
参考:Justice for Subpostmasters Alliance (JFSA)
アイキャッチ画像:R~P~M/Flickrのクリエイティブコモンズ