ロシアが関与か?EU委員長の乗った飛行機が電波妨害に遭う

先日、欧州委員会(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長を乗せた航空機が、ブルガリア上空で電波妨害に遭い、到着が予定より遅れる事態となった。
ブルガリアの空港で1時間旋回
この妨害行為が行われたのは8月31日。当時、フォン・デア・ライエン委員長を乗せた飛行機は、ブルガリアの都市、Plovdivへ向かっていたという。
しかしその際、何者かによるGPSシステムの電波妨害を受け、航空機の衛星航法支援装置が機能しなくなり、Plovdiv空港を1時間旋回しなければならなかったそうだ。
結局、航空機は手動で無事に着陸したが、予定より到着がかなり遅れたという。
EUはロシアの関与を疑う
欧州委員会のアリアナ・ポデスタ副報道官はこの事案を認め、次のように述べた。
「ブルガリア当局から、ロシアによる露骨な干渉が原因だと疑っているという情報を得ました。もちろん、ロシアの敵対的行動の常套手段である脅迫や威嚇については認識しており、慣れています」
衛星航法への妨害はロシア付近の空域でますます頻繁に行われており、2024年3月にはロシアが、ポーランドからイギリスへ帰国する当時の国防相、グラント・シャップス氏を乗せた航空機の電波を妨害したとみられている。
GPS妨害と「スプーフィング」(誤ったナビゲーション情報を表示させる電子戦術)は、2022年のロシアによるウクライナへの全面侵攻以降増加しており、昨年はさらに増えたそうだ。
またEU内部文書によると、ポーランドでは2025年1月に電子妨害が2732件記録され、2023年10月の1908件から増加したという。リトアニアでも1月に1185件記録され、2024年3月の556件から増加したそうだ。
EUの内部文書は、全地球測位システム(GPS)への妨害行為を「偶発的な事案ではなく、ロシアとベラルーシによる組織的かつ意図的な行為」と表現。「重大な損害を与えることは単純かつ安価」であり、「適切な対抗措置」がなければ、今後も続く可能性が高いと指摘している。
欧州委員会は9月1日、「ロシア発の非常に明白で露骨な事例」として、GPS信号の妨害に関与した複数の企業に制裁を科したと発表した。(了)
出典元:The Guardian:Russia suspected of jamming GPS on plane carrying Ursula von der Leyen(9/1)